◎前回のお話




夕方、私が帰宅するとだいたい息子も帰宅する時間。

どちらかが『おかえり!』とどちらかを迎えた。


洗濯機を回し夕飯の用意をしていると息子が部屋から出てきてテレビを見る。

『宿題は?』

『終わったー』

『そんなに早く終わるもん?』

『学校でやっちゃった。』

『…そう。』

しばらくはそんな感じで様子を見た。



私が休みの日、息子の部屋の掃除をしようと部屋に入った。

グチャグチャになった机の上や、足の裏についた砂が床に落ち『ジャリ』っと言う。

『あー…』


床を掃除機だけでもかけなければと部屋に入ったが、大掛かりな掃除になりそうな予感だった。

『机の上からやるか…』

机の上は教科書も紙類も遊ぶものも全てが一緒になってしまっている。

教科書を分けて棚にしまう。

紙類はテストなども出てきた。

どれも点数は20点や30点。

『まぁ仕方ないか…』と広げてから畳んで机の上に置いた。

ノートを開くと1ページ1ページに1、2行しか書いておらず次のページに進んでしまっている。

…書き取るのが間に合わないのだろうか。


テストの点数は仕方ないにせよ

知識だけは入らないと高校受験が出来ない。


さすがにこのノートを見たら不安になった。


このノートの取り具合なのに宿題は早く終わるなんて有り得るのだろうか。

ちゃんと提出しているのだろうか。



学校での様子を聞いてみるか…

私は担任の先生に相談メールをした。


学校での様子や宿題のこと。

その他困ったことはないか…


先生からの返事は丁寧な言葉で当たり障りのない感じの事が返ってきた。

ただ、そのくらいの印象しか残っていない。



まだ一学期だし…

もう少し様子を見るか…

そんな気持ちだった。


息子のノートの取り方も、やたら早く終わる宿題も

気が付けば夏休み目前まで来ていた。


『ねぇ、夏休みの宿題はどうなってるの?』

『あるよ。』

『夏休みの友は?』

『ある。』

『そう。』

何故かこちらを見ない息子に疑問を持ちながら

中学生だしな…と、少し息子の事を信じてみることにした。


部活に勉強、友だちの事…

気持ちが追いつかない事もたくさんあるだろう。

それに小学校の頃からの引き継ぎもあるはずだしせめて数学、英語だけでも個別で少しでも補えていれば…


受験まではまだある。

焦っても仕方ない…



この時はこの後まさかの出来事があるなんて思ってもいなかったのだ。