◎前回のお話



息子のパニック状態はそれから1週間くらいで徐々に消えていった。

息子いわく毎日新しいことの繰り返しで自分がうまく出来ていない気がして焦っていたとの事だった。

学校での様子や友だちとの様子が直接見えるわけではない。

少しずつ笑顔が見えてきた頃には
きっと1つ壁を乗り越えたんだろうと思った。

『自分だけじゃどうにもならない時はちゃんと相談しなよ?』

『うん、僕もごめん。』


落ち着きを取り戻した息子はそれからあまりキーキーすることもなくなった。

この頃の息子の知能は並行して2歳遅れ。


中学生になり指示が難しくなると、なかなか理解出来ずパニックになってしまうようだった。


私は息子にあった教育を…と思い、ネットでとある中高一貫教育をする学校のことを調べていた時期があった。


一人一人に合った授業
一人一人にあったカリキュラム

自宅から遠い子には寮もある。


ただ、授業料や寮での生活費を考えると厳しかった。


1年間100万以上…

さすがに負担できない。

今出来ることを少しずつ取り入れてあげるしかない。

中学に入ったら次なる目標は高校進学。

そこに持っていく為に支援級での個別の対応が必要になってくる。

『小学校の時の担当の先生がちゃんと6年生までの授業をしてくれていたから大丈夫だろう。』


そう思っていた。


それから一学期初の授業参観とP.T.A総会があった。

授業は一般学級で行われた。

教室の外に置かれた名簿に丸をつけ

授業参観に出るか、保護者会にも出るかを記入する。

もちろん両方に丸をつける。


後ろから息子の姿を見る。

ソワソワした様子は見えるが、みんなが笑うと笑い黒板の方を真っ直ぐ見つめていた。

隣の席はあいうえお順なのか、小学校の時も隣だった子が座っていた。

少し安心した。

授業が終わり、保護者会に移動する時に声を掛けられた。

振り向くと支援学級の先生だった。

『ちょっといいですか?』

『あ、はい。』

私は職員室に呼び出された。

懐かしい床の色や変わらない机の位置。


ちょうど職員室の真ん中辺りに招かれた。

『どうぞ。』

『あ、はい。』


『あの…実は部活のことなんですが…』

『はぁ…』


『本人はサッカーがいいとは言ってるんですけど…付いていけるか…』

『へ?』


『剣道部とかどうですか?』


『え?どうゆう事ですか?』


『あ、顧問の先生もいるんで話してみます?』


これは…入るなってこと?


もしかしたら息子も直接言われたんじゃ…


私は職員室のまん中で顔を強ばらせた。