◎前回のお話





支払われてない額は10万円弱。

私は自分の分の料金しか支払っていなかったので
まさか旦那がこんなに滞納していたなんて…


かと言ってその時の自分はたかだか14万円くらいの月収で貯金もなく、その滞納金を支払えるわけもなかった。


そしてとうとうケータイ会社から
利用停止の手紙が届いた。

ちょっと!困る!!


息子の学校とのやり取りは私のケータイが止まってしまったら出来なくなる。

いくら高学年とは言え、1年に1、2度具合が悪くなって学校から呼び出されることもある。

それがこのタイミングに来てしまったら対応してあげられない。

『も〜!』

私はその手紙を持って、息子と一緒にケータイショップへ向かった。


受付の番号札を入口で取りキッズスペースに向かう息子の後ろをトボトボ歩いていった。

色とりどりのイスに座り背中を丸めた。


確かに旦那は悪い人じゃない。

でもお金に関しては…


払えなくなると逃げてしまう。


その状態がシングルマザーの私と

母子家庭の息子にずっしりのしかかってくることは頭ではわかっているんだろうが

思いやる余裕がなくなってしまうのだろう。


『〇番のお客様ー』

私は顔を上げ振り返った。


『少しここで遊んでて?』

息子をキッズスペースに置いてカウンターで待つ店員さんの所へ歩いていった。


『どのようなご要件でしょうか?』

カウンターの上に手紙を出した。

『お支払いでしょうか?』

『…実は』


私は、自分の名義で元旦那のケータイを契約して使ってもらっていること

支払用紙はそっちに送ってもらっていること

元旦那の支払いを私がしなければいけないかなど

頭を下げながら聞いた。


『本当にすみません…』


旦那と一緒にいて何度この言葉を言っただろう…



車検をするのにもお金が無く

知り合いの車屋さんに行き

『本当にすみません…何回かに分けてお支払いさせていただけませんか?』


私の同級生のお宅だった。


とても恥ずかしかった。

それでも…いつか笑い話になってくれる日が来る。


そう信じて罵声を浴びせられても頭を下げた。


『本当にすみません』


謝るのは私だけ…か。




『顔を上げてください。事情はわかりました。』

その話を聞いてくれた店員さんとその上司の方が私の顔を見て微笑んでくれていた。


『柏崎様が払うことはありませんし、こちらから御主人の方へご連絡いたします。』

『ただ、このままお支払いされませんと柏崎様のケータイはご利用停止になってしまいます。
どうにか連絡が取れたら良いのですが…』

まさかの応えに心から感謝した。


『私の不注意でもあります。
どうにかこちらからも連絡取ってみます。』

『ありがとうございます。
なにより柏崎様がご利用できなくなってしまうのは困りますもんね?』


突き放さず
一緒に考えてくれたケータイショップの店員さんたちに何度も何度も頭を下げた。


しばらく待ってもらえることと、旦那に必ず支払ってもらえるようにする事を約束し

息子を車に乗せ家に急いだ。


『お腹すいたよね?ごめんね…』

『大丈夫!』

『もう…お父さんとは本当にお別れかもしれないな…』


その後は何て話しただろう…。


ただ物凄く悲しかった。