◎前回のお話
息子は5年生になった。
とうとう小学校高学年。
身体も大きくなりいろんな感情も出てくるようになった。
今まで我慢していたかのようにニコニコ笑うだけの息子が、突然口をきかなくなり怒ってみたりふさぎ込んだりすることも。
ちょっとした反抗期のような感じ。
これも成長。大きくなった証拠。
そんな感情の変化が見れることも嬉しかった。
もしこの感情がなかったら生きていく上で我慢ばかりする事になってしまうんじゃ…と、不安になる事があったからだ。
ただ、このタイミングがちょうど支援級を使い出す時と重なり不安にもなった。
急にみんなと別のクラスに行って大丈夫だろうか…と。
新学期、私は新しく出来た支援級を見学に行った。
ドアを開けると校長先生が染めてくれた優しい色の壁に感動した。
子どもたちが自由に床で座れるスペースもあった。
『はじめまして!支援級担当のKです。
よろしくお願いします!』
先生は笑顔が素敵な中年の女性だった。
『こちらこそよろしくお願いします。』
先生が教室内の説明をしてくれた。
『息子さんは通級が希望でしたよね?』
『はい。先生に様子をみていただいてどの教科に手助けが必要か判断していただいて、それを息子とも話し合って決めさせていただければ。』
『わかりました。』
私は毎年恒例の息子の知能テストの結果を手渡した。
『ありがとうございます!
これと、授業の様子を見て支援計画をたてますね。』
『支援計画?』
『はい。息子さんの今伸びてない所を伸ばすための計画書を作成します。』
『そんなことまでしていただけるんですか?』
『はい。』
今まで出してきた知能テストの結果が初めて意味を持ってくれた気がした。
『なんか私たち介護士が作る支援計画書に似てますね?』
『そんな感じです。』
先生はニコニコと笑いながら話す。
先生と話していると息子がやって来た。
支援級に通っていない友だちも一緒だ。
『休み時間はいろんな子がここに来るんですよ。』
その様子を見てとても安心した。
『息子がこの先、進学出来るのか
自立が出来るのか…ずっと不安でした。
先生に出逢えてよかったです。
どうぞよろしくお願いします。』
『私も至らないところもあるかもしれませんがよろしくお願いします!』
丁寧に頭を下げてくれた。
授業が始まるチャイムが鳴る。
『こら!あんた達!早く授業行かなきゃダメよ!』
と子どもたちに言う先生に思わず笑ってしまった。
学校からの帰り道、自然と顔が前を向いた。