◎前回のお話





息子を送り出し布団に潜り込んだ。

初めての無断欠勤…

やってしまった…

時計の針は8時をさす。

もうすぐ送迎が始まる時間だ…


するとケータイの着信音が鳴った。

私は恐る恐る画面を見た。


『あ!』


相手は親友のYちゃんだった。

【今日休み?】


私はすぐ返事を送った。


【出社拒否中】


すぐに返信が来た。

【うちにおいでよ!】


私は車の鍵と財布とケータイだけを持ちYちゃんの家へ向かった。



『ほら、上がって!』

Yちゃんが玄関を開けてくれた。


『ありがとう。』

仕事ばかりで会えてなかったので顔を見てホッとした。


Yちゃんは子ども達と実家暮らしをしており、私はYちゃんの部屋に通された。


『落ち着く〜』


中学から生きなれたYちゃんの家。

すぐに床に座り込んだ。


『どうして無断欠勤してるの?』

私はこの2ヶ月あったことを、Yちゃんに話した。


利用者さんが叩かれたこと

ご飯が食べられなくなったこと

昨日トドメを刺されたこと…


『そうかー。大変だったんだなぁ…』

『うん…』


するとまた着信音が鳴る。


今度はセンター長だった。


私は出ることができない。


何を話すの?


何も改善されず、誰も助けてくれず…

また戻れって言うの?


着信音が聞きたくなくて耳をふさいだ。

着信音が止まるとしばらくして留守電のお知らせが入った。


恐る恐る再生する。


『もしもし、○○です。
今日はどうしましたか?1度連絡ください。』


再生が終了し耳からケータイを離すとYちゃんが言う。


『なんか懐かしいな。私が学校ズル休みした時
もーさんがお母さんのフリして電話してくれたことあったよね?』


遊びたい盛りの時期、Yちゃんに頼まれてお母さんのフリをして

Yちゃんの通う学校に電話をしたことがあった。


『アハハ、懐かしいね。そんなことあったねー』


そう話しながらソファでゴロゴロした。


『でもこのままじゃしょうがないよ?』


と言われた。


『そうだよね…

でも今働いてる所の人とはもう話したくない。

県内の一番大きいところに直接行ってみるか…』


『それがいいよ。』


悲しいことがあっても休んでいたら生活費が底をついてしまう。


Yちゃんに背中を押され、まずは制服をクリーニングに出し

次の日受け取って大きな支店に持っていくことにした。