◎前回のお話



また母子2人で頑張る日々が帰ってきた。


ただそれだけの事…。


ちょっとだけ空く時間が寂しくて、ママ友と子ども達を連れてお出かけする。


公園や買い物。


ぽっかり空いた心の真ん中は埋まるが


どうにも隙間がある。


【私は強くなった!】と気張るが


やはりまだまだだった。



職場ではリーダー業務をしているが


騒がしい性格の為、スタッフ同士楽しくやっていると


『お前がうるさいから周りがミスをする』


と言われた。


仕事は楽しく…職場は明るく…



でも上司とは合わなかった。


『お母さん…お仕事変えようかな…』



息子に何気なく話した。


『どうしたの?』


『うーん…お母さんうるさいんだって…』


『お母さんがうるさいのは明るいからなんだけどね?』


息子が慰めてくれた。


いい大人な私だが、落ち込む時は息子と話をして元気をもらった。


『ありがとう。優しいなぁ。』


なのにお父さん見つけてあげられなくてごめんね?

ホントならもっと側にいてあげなきゃいけないのに…


息子の頭をぐしゃぐしゃになるほどなでた。


『いーこ!いーこ!いーこ!いーこ!!』


『やめてよぉー!』


息子が笑う。


字が上手く書けなくても、靴の左右を間違えても


こんなに優しい息子は私の心の支えだった。


あの時は生きることに必死で正直わからなかった。


でも今は分かる。


あの時息子がいてくれなかったら私はちゃんと地に足をつけて生きていなかっただろう。



『よーし!お母さんおじいちゃんおばあちゃんのお世話します!!』


『うん!カッコイイ!!』



次の日私は会社に辞表を出した。


残っていた有給を使い息子と病院に行ったり


遠出したりした。



言葉の教室もゆっくり関わり


ピアノも一緒に練習する。


つかの間の母子の時間。


本当ならこうして付きっきりで教えてあげたい…


専業主婦なら…


そう思ったが、今は働かねば。


『お母さん、世界一明るい介護士さんになるぞー!!』


『お母さんならなれるよ!』


そう息子に背中を押され


新しい職場への出勤日がやって来た。



家から近く、実習にも通ったデイサービスだった。


実習の時『うちに働きに来ない?』と言われたことを思い出し面接に行った。


すぐに就職が決まった。


ロッカーでユニフォームに着替え、職場に足を踏み入れた。


明るくて楽しくて…


しかし私の想像はこの後とことん崩された。