◎前回のお話
 


 
 
彼と私の間に見えない溝が出来た。
 
でも、寂しいような
 
逆にほっとしたような不思議な感情もあった。
 
 
女として生きられない自分がいる事を心のどこかで感じてしまった。
 
 
私は息子の幸せを一番に考えている気持ちに気づいた。
 
 
自分じゃないのだ。
 
 
たまに会ってニコニコして
 
 
それで満足ではないのだ。
 
 
家族と夫婦を経験してしまった私にとって、それはまるでおままごとの世界で
 
 
現実に生活にはお金が必要で、甘えていられなくて、自分がそれを守らなくてはいけない。
 
 
私は彼に
 
 
『結婚する気があるならよく考えて。
 
もう3年付き合ったしそろそろどうするか考えて。
 
答えは自分で考えてください。』
 
 
そう伝えた。
 
 
 
 
彼と私の生きてきた環境は違いすぎていたのかもしれない。
 
 
17歳で家を出て荒波に揉まれた女と
 
30過ぎても家族の意見に右往左往する男。
 
 
それが悪いとは思わない。
 
それは彼が家族を大切にしたいと思う気持ちなのだから。
 
 
私にも息子がいる。
 
 
だからそのくらいの気持ちはわかった。
 
 
でもそろそろ決めよう。
 
 
今の家族か次の家族か…
 
 
 
 
彼に最終判断を委ねてしばらく連絡が途絶えた。
 
 
私はヘルパー2級の資格を無事に取得し、生活費確保の為今まで以上に働いた。
 
 
リーダー業務をこなし、夜も遅くまで会社に残る。
 
 
その間、彼は午前中の仕事だけこなし午後はのんびりと過ごしているのか…と思うと
 
 
やはり私とは合わないのかもしれないと、会わない時間の間でチラホラ感じるようになった。
 
 
抱えるもの、背負わなければいけないものの重さが違うし
 
きっとそれを今感じてくれ!と言ったところで無理があるのだ。
 
 
彼に『家族ごっこ』を押し付けてしまっていたことに気づいた。
 
 
いや、私にとってはリアルな生活だが
 
彼にとっては違う。
 
 
非現実的なのだ。
 
 
 
 
そんなある日、悩みすぎていた私は運転中事故を起こした。
 
 
仕事中、お客さんの家の入口で車のドアを大きく傷付けた。
 
 
『あらー!!大丈夫!?』
 
 
『すみません!!』
 
 
いつもならやらない事故。
 
 
心のどこかで恋愛に冷めながら
 
 
やっぱり幸せになりたいともがいて葛藤して
 
 
結局素直になれずにうまくいかないダメ女。
 
 
ため息をついて久しぶりに実家に顔を出した。
 
 
 
『ただいま…車のドアガチャガチャになったー』
 
 
『はぁ?何やってんのよー』
 
 
と母が台所から顔を出した。
 
 
 
『悩みすぎなんじゃないの?彼とは最近どうなのよ?』
 
 
 
母は勘がするどい。
 
 
 
『んー…最近連絡こないや』
 
 
 
『なんでよ?』
 
 
『なんでだろうね?』
 
 
そんな会話をしていると、実家の電話が鳴った。
 
 
 

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