◎前回のお話




息子を送り出し、私はソファーに座り排尿を試みる。


『よし!』


意を決してそのまましてみる。


『あ!やばっ!!』



前日からためられた尿はパットもリハビリパンツもせき止めきれず。


『あぁー…』


漏れた。


すぐに脱衣場に行き、シャワーを浴び下着を取り替えた。


一つ一つ

介護される側の気持ちを知る作業をした。



スクーリングは毎週あったが、平日休むことばかりは出来ないため2つの教室を行き来した。


1つは生徒4人の自宅から近い教室。

こちらは木曜日。


もう1つは家から車で1時間かかる教室。

こちらは日曜日。


次の回はもう1つの家から遠い教室だった。


そちらの教室は人数も多く、20代くらいの人から50代くらいの方までいた。


【お、なんだか本格的に学校っぽい。】


私は20代の可愛らしい女性の隣に座った。


『よろしくお願いします。』


と挨拶すると


『こちらこそよろしくお願いします。』


と笑顔で返してくれた。


教室で行なう内容はシーツ交換や着脱

入浴介助や食事介助


いろいろな介護の技術を学ぶ。


メモを取り、何度も体に動きを叩き込む。


夕方にはクタクタだ。


『お疲れ様でしたー!』


と挨拶し家に帰るのは18:00過ぎ。


次の日も変わらず仕事が待っている。


スクーリングから仕事、


仕事から言葉の教室、


またスクーリングから仕事。


次の休みは息子の病院。


ほぼ全ての事を1人でこなしていた。


眠い目をこすって息子を車に乗せ


2時間運転して病院へ。


さすがに疲れていた。


息子の療育時さすがに眠くてウトウトしてしまった。




『お母さん!お母さん!』


肩を叩かれハッとした。


先生と息子が私の顔を覗き込んだ。



『すみません!寝ちゃってた!』


『お疲れなご様子ですね?』


先生がニコニコしながら話しかける。


『最近、ヘルパー2級の資格を取りに行ってまして。さすがに休みなくて疲れました。』


『そうですか。凄いですね!』


『少しでも息子のこと理解したくて…』


『柏崎さん偉いですね。』


『そんなことないです。

でも知識が欲しくて。

周りに理解して欲しい時説明できるようになりたいんです。』


すると先生は


『息子さんはしっかりと挨拶ができます。

きっと立派な社会人になれます。』


先生の言葉はちょっとだけ


【頑張りすぎなくていいよ】


って言われてるような気がした。