◎前回のお話



私は荷物を担いで町内専用のテントの下に行った。

『おはようございます。』


と挨拶をし場所を借りる。


同じ町会の人たちが『こっち大丈夫だよー』と快く席を空けてくれる。


『ありがとうございます。』


後から両親も来た。町内は別だが皆さん気にせず仲間に入れてくれた。


ドーン!と花火が上がると運動会が始まった。


息子もガチガチで行進する。


整列中はずっとじっとしている事ができなくてついモジモジしてしまう。


『どうしていっつもモジモジしてんのぉ!』

と私がいつも怒るから、私の目を気にする息子。

今日は私が近くにいないから思う存分モジモジしている。

私はそれを祈る気持ちで見ていた。


誰かに笑われたりしないか…

バカにされたりしないか…

ちゃんと出来るかな…


走ってくる息子に

『がんばれー!!』

踊ってる息子に

『がんばれー!!』


1つ1つドキドキしながら見つめた。

確かに上手に出来ていないこともある。


でも息子なりに必死に頑張っている。


お昼休憩になり息子もテントに来た。

『お疲れ様!』

真っ黒になった運動着で私たちの横に座る。

『手ぇよく拭いて!』

おしぼりを手渡すが中途半端な拭き方をしやっぱり私が口を出す。

『ほれ!貸してみ!』

ちょっとニコニコする息子。

『はい!綺麗になった!よし食べよう!』


お弁当を広げる。


唐揚げ、玉子焼き、おにぎりにウインナー。

ばぁちゃんのおいなりさんも。


『いただきます!』


紙皿に好きなものを乗せて食べた。


こんな時、市販品から取るのが息子だ。


『それお母さんちょっとイラッとするー』


とぶすくれて見せる。


家族でワイワイ食べてると、友だちが遊びに来る。


『何か買いに行こうー!』


運動会には出店が何軒か出てて、それを一緒に見に行きたいようだ。

『うん!行く!』


息子は食事そっちのけで行ってしまった。


『子どもにはちゃんと子どもの世界があってどうにか大きくなるんだね。』

とお母さんと話した。


午後は私も息子と一緒に競技に参加した。


玉入れやかけっこ、踊りも。


息子は私が横にいるとニコニコして

私が声を出して笑うと一緒に笑った。


他のお母さんたちも『柏崎さん明るいねー』と声を掛けてくれた。

私の不安も少し和らいだ気がした。


シングルマザー初の運動会は

ドキドキしたりあったかくなったりして

残ったお弁当を実家で食べる

とっても楽しい思い出になった。