◎前回のお話




運転免許も取れた私は次に仕事を探し始めた。


とは言え今までしっかりと働いたこともなく中卒で働ける職場をどう探そうか悩んだ。


どんな仕事でもいい。

賃金が安くてもいい。


とにかく稼がねば…



仕事の事を中学からの友人に相談すると


『私の働いてる会社面接してみる?』


と言ってくれた。


『うん!いいの?』


『聞いてみるよ。』


『ありがとう!』


仕事はトントン拍子に決まり、私は友達と同じ会社の別の部署に配属されることが決まった。


時給は750円。


今思えばとんでもなく安いが、あの時の私には大切な生活費だった。


1日働いて6,000円。


福利厚生もしっかりしている。


ちゃんと保険証ももらえる。


それだけでありがたかった。


職場が決まればあとは息子を預けられる場所だけだ。


息子の通う学校に迎えに来てくれる学童保育所は決まったところしかなかった。


そこに連絡を入れる。


会社で働き始める時期から息子を預けられないか交渉をした。

一学期の頭からではない為もし駄目だったらどうしよう…そんな気持ちで聞いてみた。



学童保育はお試し保育から始まったのか、イマイチ最初の頃を思い出せない。


私の出社日前。


保育所から電話があった。

『あれ?人数が多くてダメなのかな…』


そんな気持ちで電話に出た。


『もしもし、お伝えしたいことがあるので一度園に来てください。』


と言われた。


人数の問題で入れなかったりしたらどうしよう…

働かなきゃだし…


『こんにちは』


保育所の入口を開け職員さんに声を掛けた。


『こちらへどうぞ。』


私は職員室へ通された。


『あぁ、こんにちは。どうぞ。』


中年の男性職員が座っていた。


『息子さんの事なんですが…』


『はい…』


『こちらの園では預かれません。』



やっぱり…そうゆう話か…

とは言え預けられなければ働けない。


私は理由を聞いた。



『あの…どうして預かっていただけないんでしょうか…?』


人数の問題かな…


しかし答えは私の予想を反していた。


『息子さん…ヨダレがね…止まってないでしょ?』


『はい。』



『そうゆうお子さんはイジメの対象になることがありますので…ちょっとうちでは預かれませんね。』



『は?』



この人何言ってるの?


私は口をポッカリ開けたまましばらく放心状態になった。