◎前回のお話





倒れ込みながらケータイを見た。


旦那からの連絡はない。



【何してるのよ】


と、メールを入れる。



返事はない。



【仕事には行ってるの?】



また返事はない。



【離婚届けを出してくれず、車は持ち逃げ…いい加減にしてよ。】



でも返事はない。




ケータイを折りたたみギュッと手に持って床に投げつけたくなる。





でも唯一の連絡手段……






旦那の職場に連絡をとった。



出勤していなかった。




旦那の実家にも連絡した。



行ってはいなかった。



『どうしたの?』と言われ、今回のことを説明した。



借金をまたしたこと。



仕事にも行っていないこと。




『こっちに来たら連絡するから。』



『ありがとうございます。』






逃げなければ…



話せば済む話…




思えば結婚して今まで…そんな事がたくさんあった。





そのたびに




【でも息子には旦那が必要だから…】




【離婚なんて絶対に有り得ない】





と思ってきた。




そしてこの時だって…【本当に離婚するの?】



と思っていた。




またきっとやり直せる。




きっと気付いてくれる。



大丈夫大丈夫…





【♪~~♪♪~~~♪♪~♪~♪♪】




ケータイの着信音が鳴った。




『ももちゃん、大丈夫?』



近所のママ友だった。




『ありがとう。大丈夫だよ。』




『うちに来ない?』




『あ、うん。ありがとうね。』




一人でいても気が滅入ってしまうため、私はママ友の家へ。




子どもたちが帰って来る前に話をしに行った。




今までのことを話した。




『私手伝うからさ…旦那さん探しに行こうよ。』




ママ友は次の日から空いてる時間を見付けて一緒にいろんなとこを回ってくれた。




市内のパチンコ店を回ってうちの旦那が乗る車がないか、警備員の人にも聞いて回った。




毎日毎日…




でもなんの手ががりもなかった。



旦那が居なくなって5日目。




これ以上ママ友に迷惑をかけたくなかった。




『ごめんね…こんな無謀なこと…』




『いいんだよー!』



『こんなこと何に頼ったらいいのか分からないけど、とにかく見付からなきゃ話が進まないからね…』




私はポケットからチラシを出した。




『コレにお願いしてみようと思う…』




新聞のチラシに挟まれていた『探偵』と書かれている紙をママ友に見せた。