◎前回のお話



新しく友だちになったママ(Aママ)はとても世話焼きな2児の母だった。


『何かあればうちにおいで!』と言ってくれるチャキチャキとした元気なママと言うのが第一印象だった。


いろいろと悩んでいた私にはとてもありがたい存在で子どもを遊ばせながらいろんな話をした。


子育てのこと


家庭のこと


旦那のこと



そのうちママ友の輪も拡がっていった。



常に遊ぶのはAママ、Bママ、Cママと我が家。


夕方になると外に出て『こんにちは』と挨拶をし子どもを遊ばせる。



夜旦那が夜勤でいないとAママは夕飯にも誘ってくれた。


息子も大喜びし子ども達は仲良く遊んでいた。


本当にありがたかった。




Bママのお家は我が家のお隣。


まだヨチヨチ歩きの男の子のママだった。



最初はベランダ越しに話をしていたが仲良くなるにつれておすそ分けをするようになったりお家におじゃまさせてもらうようになった。



Cママは別の棟に住んでおり挨拶を交わす程度だった。




この出会いにより我が家は活気は取り戻しつつあった。


旦那とも『ありがたいね』と話していた。






こんな生活が続いて2ヶ月程経った頃、なんだかおかしな空気を感じ始めた。


なんだかみんながよそよそしいのだ。



【なんだ?この空気…】



みんなが居るため下に降りても挨拶は交わすが目を合わせてくれない。


お菓子を持って行っても『あ、うちは大丈夫』と受け取らない。



だんだんと私はみんなと疎遠になった。



しかし、もうこの頃の私は既に一皮剥けていた。




【ま、別に1人でもいいか!死ぬわけじゃないし。】


そう言い聞かせ息子と外に出て遊んだ。



私の親友も1年違いで子どもを産み一緒に遊ぶこともあったし


ほかのまだ子持ちじゃない友人もよく遊びに連れ出してくれた。




今まで良いママになろうと必死過ぎてたなぁと自分を振り返り、そこまで必死にならなくてもいーか!と思えるようになってきていた。




空気が変わってから1週間。


私は変わらず息子と一緒に外に出ていた。


『今日は何をしようか?』と息子とスコップとバケツを持って砂場の方へ行こうとすると



『こんにちは』と声がした。



振り向くとBママがいた。



『こんにちは』



私は笑顔で答えた。



その顔を見たBママは一瞬うつむくと



『ごめんね』



と言った。



『は?何が??』



その言葉にびっくりした私はぽっかりと口をあけた。



『実は…Aママがももちゃんの文句を言っててね?』



ぽっかり開いた口がますます大きくなる。



『は?え??』



言葉にならない。



『でもここ1週間ももちゃん見てて、全く嫌な人じゃないのがわかったからさ。』



いや。そりゃ嫌な人じゃないだろうよ?



別に意地悪するわけじゃないし、迷惑かけるかもだけど人並みだとは思うし…




『私は変わりなく付き合う!』




『ありがとう。またよろしくね!』




ママ友同士でちゃんとした友だちが出来た瞬間だった。




私たちが子ども達を遊ばせていると別の棟からも子連れのママ達が集まってきた。



みんな穏やかで付き合いやすい方々ばかりだった。





Bママは


『ももちゃんのこうゆう所にAママは嫉妬したんだと思うよ?』



と言った。



それからAママとは距離をとった。



『うちにおいでよ』と言われても断った。



そのうちAママは働くようになり子どもも保育園へ。



だんだんと疎遠になった。




我が家ももうすぐ幼稚園選びだ!



いろいろあったが息子の成長は止まらない。




私は旦那とたくさん幼稚園のパンフレットを集め次なる育児の壁へと立ち向かおうとしていた。