◎前回のお話


私は息子を抱え、家までの道のりを歩き出した。


イライラしながら歩いているせいかスピードも上がる。


酷い形相だっただろう。



秋の風が胸に入って少し咳き込んだ。



途中、橋の上にたどり着いた。



水面を見ていると涙が出てきた。



『何もいいことなんて無いな…』



このまま息子と………



『ダメか…』



再びトボトボと歩きはじめた。


周りを歩く人、車に乗っている人を見るとみんなとても幸せそうで
息子をぎゅっと抱きしめながら目を伏せ歩いた。


直視してしまったら腹立たしい気持ちを吐き出してしまいそうだった。



腹が立っても帰る家はひとつしかない。



急な階段を上り家まであと半分の距離。



知り合いとすれ違うことなくここまで来れた。


こんな姿見られたくない…


こんなに惨めな姿は…



さすがに息子が重くて少し歩いてもらった。


私の表情に気付くのか顔を覗き込む。



手を引き作り笑顔で答えるがいろいろな気持ちが湧いてきては涙が出てしまう。



『おんぶにするか』



息子を背負って自宅に戻った。



検診が終わってから2時間以上は経っていた。



旦那は帰っていなかった。



旦那が帰ってきたのは真夜中に近い時間だった。



黙って入ってきた旦那を見て頭に血が上る。



『何してたのよ…』



『…』



『財布は?』



『…』



『出しなさいよ!!』




私は旦那のポケットを探り財布を奪い取った。



『なにこれ…』



『腹が立ったから…』



『はぁ!?腹が立ったらあんたは家の金全額使うのかよ!??』



財布の中の生活費8万円が全てなくなっていた。




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今日は画像無しで。すみません。