次の住まいは私の地元の2DKのアパートだった。


家賃は5万円。


キッチンもトイレもお風呂も洗面所も広く綺麗だった。




父や親戚のおじさんに手伝ってもらって引越しが終わった。



一年分の荷物はそこそこあって午前中から始まった引越しが終わったのは夕方だった。





『あー!!!お風呂がちゃんとしてるー!



トイレが水洗ーーー!!!



キッチンにネズミがいないーーーー!!!!!



しーあーわーせーーーー!!!!!』




今まで普通だと思っていたことが普通じゃなかった生活。



やっとまともな生活になるかもしれないと言う期待でいっぱいだった。




広々したフローリングで息子が歩行器で歩く姿を何度も写真におさめた。





旦那は引っ越してすぐ、新しい職場への出勤が始まった。





朝早く夜遅い生活。




以前よりも通勤時間がかかるようになり益々家族の時間は減った。







しかしながら私も地元に帰ってきた為、友人や両親が来てくれるようになり寂しさは半減した。




ただ、呼吸苦は益々酷くなる。






持ってきた荷物を開けて片付けようとしても進まない。




パートも辞めたし



寒さももうないのに何でかな…







ある日の明け方、とうとう呼吸が出来なくなった。



仕事で遅かった旦那を起こした。




『限界かも…』




旦那は仕事ギリギリまで付き添うからと病院へ連れていってくれた。



救急外来に着くと看護師さんが血圧や体温を測ったり血液検査をしたり



サチュレーションの機械を指に取り付けたり


レントゲンを撮ったりした。




余りのだるさに旦那の横に倒れていると看護師さんにベッドに横になるように言われた。



先生が結果を見ながら言った。




『柏崎さん、喘息ですね?』






『は?』



大人になってからもなるものなの?




看護師さんが腕に点滴の針を刺した。




薬がどんどん体内に入ってくる。





あれだけ苦しかった呼吸が楽になる。



原因は何だろう…



出産後、産後の戻りが中途半端だった?



ストレス?




考えるのさえ疲れてしまった…



私は久しぶりに深い眠りに入った。