働くためにはまず息子を預ける場所を探さなくてはいけなかった。



住んでいた町にある保育園2ヶ所に電話をしてみることにした。



『はい。○○保育園です。』


『すみません、今子どもを預ける場所を探しているんですが…』


『おいくつですか?』


『0歳です。』


『ちょっと空きがないですね…』




2ヶ所ともこんなやり取りだった。



保育園って簡単に入れないのか…




じゃあ先に仕事を探してみよう。



求人広告を見て『18歳以上、学歴不問』を探す。



その条件だと時給は700円台だった。



仕方ない。




車がないので通勤しやすい駅近の職場を探した。



1つ時給が800円台のデパ地下のお惣菜売り場の仕事があった。


さっそく電話をする。



『すみません、求人広告を見たのですが…』



『ありがとうございます。では早速面接を…』



面接の日程が決まった。




面接当日。息子をベビーカーに乗せ駅の階段を上る。



ホームに着いて目的の駅へ。



また階段を上って降りて…



デパートとは反対にある託児所に息子を預けて面接に向った。



確か1時間1,000円くらいだったと思う。



『よろしくお願いします。』



息子は先生に静かに抱っこされた。



『行って来るね。』



私はまたさっきの階段まで戻りデパート側に向った。



通用口で面接であることを伝えると事務所に通された。



『柏崎です。よろしくお願いします。』



『よろしくお願いします。では履歴書を。』



持参した履歴書を渡した。



『まだお若いですね?惣菜コーナーが希望ですか?』


『はい。』


『洋服の販売とかはダメですかね?』



『働ければどこでも!』



『分かりました。じゃぁ紳士服の販売員が足りてないのでそこに入っていただけますか?』



『はい!よろしくお願いします!』



話はトントン拍子に決まった。




面接が終わって息子を迎えに託児所に走った。



『柏崎です!お迎えに来ました!』



息子は私を見付けたとたんに泣き出して手を伸ばした。



『ごめんごめん!』



抱っこしてあやすとピッタリと体を近付けて来た。




『あの…ここって空きありますか?』



『はい。大丈夫ですよ?』



『実は近くのデパートで働くことになりまして。出来たら預かっていただけたらなと。』



『分かりました。じゃあお預かりするにあたっての書類とか持ち帰られますか?』


『はい!また改めてお電話します!』



こうして職場と託児所は一気に決まった。




息子5ヶ月、私18歳。



フルで働く日々が始まった。