朝、目覚めると自分の家じゃないことに少しハットした。



あー…そうだ。家から出ちゃったんだ…と。



疲れていたからかだいぶゆっくり眠ってしまっており


もう彼は隣に寝ていなかった。



着替えてリビングに移動するとお姉さんがいた。




『もう(彼)仕事に行ったよー。食事食べちゃってー。』



テーブルには品数豊富な朝食が並んでいた。



申し訳ない気持ちで食べる。



彼がいないとなんだか場違いな気がして居心地が悪かった。





お姉さんはとてもしっかりしていて、良きお母さんな雰囲気だった。



私はこうなれるのかな…ならなきゃな…とお姉さんを見ながら思っていた。





数日後、学校の退学の件や婚姻届や住民票の移動の事などを話し合う為一度実家に戻った。


出ていってから大した日数は経っていないのにとても懐かしく思えた。




居間にはお母さんだけ。



『学校…ホントに辞めていいのね?』


『うん…』


『先生は堕ろせば学校に来ていいんだよって言ってるよ?』



『堕ろしたくないよ』



『じゃぁそう言ってくるよ。ホラ、婚姻届貸して。』



17歳の私は親の承諾がなければ何にもできない。



言葉と身体は大人になったつもりでも


結局大人がいなかったら何も出来ない子どもだ。



大きな口を聞いた割には情けないな…と、正座をしながら俯いた。




『お母さん、ありがとう。』



婚姻届にはちゃんと父のサインもあった。


あの日のお父さんの背中を思い出した。



親不孝な娘でごめんね…。




受け取ってまたお姉さんの家へ戻る。



お母さんが見えなくなるまで窓から見ていた。




すると彼が口を開いた。



『俺と連絡取れない日あっただろ?あの時はごめんね。』



『そーだよ!あの時は本気でヤバかった!』



『あの時、お母さんから電話があってね

『娘と別れてください』って言われたんだよ。』



『え?』


『『娘には夢があるんです。あなたに会ったらきっと堕ろせなくなってしまうから。

まだ若いからこれから先のことを考えたら…


だからもう会わないでください。』って…』



『…。』



『幸せにしなきゃな。しなかったらお父さんにぶっ飛ばされるな。』



『うん。』




こうして私たちは夫婦になった。










☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..



うまいことまとまってるかしらー。