サイレンがなる

【東方百貨店で火災特急隊出動です】


ユ「出動だ

 行くぞ ドンへ!!」





ド「おう」


 東方百貨店

 チャンミンが今日行くと言ってた

 連絡したいけど

 大丈夫だよなチャンミン







 火災報知器の音がけたたましく鳴り響く

 地下食品売り場にいた僕は

 爆音と共に弾き飛ばされた




チャ「うっ ゴホゴホッ

 すごい煙だ」



 煙で周りは見えない

 悲鳴が至る所で聞こえる

 ハンカチで鼻と口を隠す



 非常灯が見えた



 僕は非常灯の明かりまできて

 叫んだ



チャ「こっちだ

 出口はこっちだ

 皆早く」


 携帯のライトを付けて

 降る



 最後だろうか

 売り場の服を着た女性が来た



チャ「奥に人は?」


店員「自力で動ける人は

 もう私で最後だと思います」



チャ「わかった

 これで照らしながら

 皆を誘導して」



店員「お客様は!!」



チャ「僕は医者なんだ

 助けれる人がいないか

 見てから行く」



店員「気をつけてください

 奥は火の手がすごいです」



チャ「わかった」





チャ「誰か

 誰かいませんかぁーーー」



 一通り周って

 僕も避難しようとしたその時


 子供の鳴き声が聞こえてきた


 天井からミシミシ音がする

 これ以上は危険だと

 脳内で叫んでるのに

 僕の足は

 子供へと向かっていた



 子供の元へと向かってみれば

 泣きじゃくる子供は

 倒れている母親だろうか

 手を握って泣いていた



 僕は子供の握っている

 女性の脈を見た



チャ「僕

 ここは危ないんだ

 おじさんと行こう」


子供「ママーー

 ママと行く〜」


チャ「ママは今動けないんだ

 後でな後で助けてもらおう」



 子供は

 母親の手をギュッと握ると

 僕を見た


 僕は頷く



 僕の差し出した手を握る子供


チャ「僕名前は?」


子供「ドンユ」



チャ「よしドンユ君

 歩けるね

 行くよ」


 あたりを見回すも

 煙と炎で出口がわからない


 お店の看板を見る


ド「あっ!!

 あっちが光った

 おじさんあっちだ」


 ドンユ君が走り出そうとしたその時

 チカッと光った



 爆発する!!



 






 現場に到着すると

 炎と煙の中から

 人が逃げてきていた



 俺たちは地下への階段へ降りて行く



 煙の中から光が見えた

 そこに向かうと

 途中でうずくまる女性がいた



ユ「もう大丈夫ですよ

 すぐに地上に上がりましょう

 下にまだ人はいますか?」



店員「お医者様が

 動ける人を探すって中に」



ユ「わかりました」



 俺は地上へと連絡をする

 その時に

 その店員が持っていた

 携帯が目に入った



ユ「この携帯は!!」



店員「そのお医者様のです

 照らしながら行けって」



ユ「チャンミン!!」



ド「ユノ

 チャンミンさん中にいるのか?」



ユ「そうみたいだ」



ド「必ず助けるぞ

 行こう」

 


ユ「あー」

 

 その時地下から爆発音がした

 チャンミン







 爆風に飛ばされた

 起きあがろうとしたら

 

チャ「いたっ」



ド「おじさん大丈夫!!」



 足を見れば

 コンクリートで挟まれていた

 引いても押してもびくともしない



チャ「大丈夫だよ

 ありがとう

 ドンユ君

 今 救助が向かってきてる

 何か音を出して

 ここにいることを知らせないと」



 ドンユ君は

 そばにあった棒で床を叩き始めた


チャ「そうだ

 上手だぞ」





ユ「音がする

 あっちだ」


 きっとチャンミンだ

 もしもの時の対処法は伝えてある


ユ「チャンミン!!

 どこだぁー」





 叩いてる音の隙間から

 声が聞こえた



チャ「ユノーーーーーーー!!」




ユ「チャンミン!!」





ユ「チャンミン!!
 待たせたな
 すぐに助けるからな
 坊主も音で知らせて偉かったぞ」


 俺は予備の酸素ボンベをおろし
 子供に酸素を吸わせた


 そしてチャンミンを見て
 驚いた


チャ「ユノ
 僕よりも
 要救助者優先順位1番がいるんだよ
 ドンユ君を助けてあげて」

 俺はチャンミンの足を挟んでいる
 コンクリートを持ち上げようと
 頑張った


ユ「うぉーーー」

チャ「ユノ!!
 ユノは人を見殺しにするつもりか!!」


ユ「嫌だチャンミン
 うぉー
 一緒に
 出るんだ」


チャ「素手では無理だよ
 僕は待ってるから
 だから

 ね」


 びくともしない


ユ「はぁはぁはぁ
 チャンミン
 必ず迎えにくるから
 
 頑張るんだぞ」


 俺は自分の酸素ボンベと
 耐熱の上着をチャンミンにかけた

 子供を抱き上げる

ユ「ドンユ君だっけ?
 おじさんと一緒に行こうな」

 子供はチャンミンを見た

ド「おじさんも一緒に」



ユ「2人一度は無理なんだ

 でも

 ドンユ君と地上に上がったら

 すぐにこのおじさんを助けにくるから」


 俺はチャンミンの手を握った

 

ユ「新婚早々1人になるのは嫌だからな

 すぐに戻ってくるから」



チャ「頑張るよ」


 後ろの方で崩れる音がする



チャ「ユノ早くドンユ君を!!」



 

 俺は子供を抱いて走った

 早く

 早く戻らなければ






 ユノの後ろ姿をしっかりと目に焼き付ける

チャ「ユノ

 愛してるよ」




 ドォーン