外来の日がやってきた
検査等はないので、順番も何も関係ない
待合室に入ったらすぐに診察室に呼ばれた
「どうですか?」と
診察室に入るなり聞かれたが
応える事ができなかった
「寝てることが多いです」と伝えた
先生はうなづくだけだった
父は、全く先生も見ない。
体も傾き、車いすに座ってるのもやっとの状態だった
主治医の先生が「入院しますか?」と聞いたけど
入院してもすることは無いし、
「自宅に帰ります」といった
次の予約は・・・という話になったが
その時点で先生の反応が鈍かったので
あぁ、これが最期の診察になるんだろうなと直感した
一応、1か月後に予約を取ってくれた
それは先生の最大のやさしさだろうと思う
いつも診察室には、もう一人腫瘍内科の先生がいる
主治医の先生と、腫瘍内科の先生に
「本当にお世話になりました」
と頭を下げた
二人の先生は
「来月もきっと顔をみせてくれると信じてる」と父の手を二人で
握ってくれた
だけど、父は何も応えることがなかった