2019(令和元)年5月18日に、NGT48の山口真帆(やまぐち・まほ)さんが、新潟のNGT劇場で卒業公演「太陽は何度でも」に出演し、菅原りこさん、長谷川玲奈さんとともに、NGT48を卒業しました。
山口真帆さんは、2018(平成30)年12月8日に、新潟市内の自宅マンション前で2人の男(アイドルハンターとの説が有力)に押さえつけられるなどの暴行を受けましたが、駆け付けたNGT48のメンバーの村雲颯香さんらの助けで大事には至りませんでした。
暴行した二人は新潟県警に逮捕されましたが、不起訴になっています。
山口真帆さんは、この事件を受けて、動画配信サービス「SHOWROOM(ショールーム)」やツイッターなどで、事件の概要と、アイドルハンターたちと個人的につながっているNGT48のメンバーが複数いることを暴露しました。
山口さんは、運営側に早急な調査・対策を求めましたが、「不起訴になったことで事件じゃなくなった」「疑いのあるメンバーは不問」などと相手にされませんでした。
さらに、山口さんのツイッターなどでは、「個人的につながっているメンバーは解雇すると約束したのに、NGT48の運営は嘘ばかりで悲しい」と発信しました。
そればかりか、「(山口さんは)今は会社を攻撃する加害者だ」とまで言われ、「(目をそらしてはいけない他のメンバーの疑念に)目をそらせないならやめろ。」と言われてました。
山口さんは、「まじめにやっているのがいけないのなら辞めるしかありません」と、仲間の菅原りこさん、長谷川玲奈さんとともに、NGT48からの卒業を決意しました。
山口真帆さんの問題に、適切に対応できなかったNGT48の今村悦郎前支配人は、世論の批判を受け解任され、マスコミやファンからは、NGT48の対応はもちろん、本体のAKB48の松村匠取締役らのぐだぐだ記者会見などから、AKB48本体の運営にも大きな疑問がもたれ、ファンも離れつつあります。
山口真帆(やまぐち・まほ)さんは、1995(平成7)年9月17日青森県生まれの23歳で、2015年7月にNGT(新潟)48の1期生オーデションに合格しました。
2017年4月に「青春時計」でメジャーデビューした、NGT48の選抜メンバーの1人でした。
2017年6月の「AKB48の選抜総選挙」で53位に初めてランクインし、翌2018年6月の選抜総選挙でも70位にランクインしました。
同年7月には、NGT48内で、チームGⅢから、チームGに移籍し、同グループの副キャプテンに就任しました。
キャッチグレーズは、「まほほほ・まほろん、まほほほ・まほろん 真帆の魔法にかけちゅうぞ 青森県出身、山口真帆です。」
ちなみに、『まほほん』は、不思議少女・魔法少女と呼ばれた山口真帆さんの愛称です。
ここで、2019(令和元)年5月8日の、最後の握手会を終えた山口真帆さんのツイッターの挨拶を紹介します。
「握手会、ありがとうございました。
全国握手会に参加するにあたって、最初は不安もありましたが、
久しぶりに、ファンの皆さんと直接お話できることが、嬉しくて楽しくて、
自然に笑顔が溢れていました。
ファンの方、一人一人との思い出があって、
この時間がもう終わりだと思うと、
お顔を見るだけで、
今までの思い出が走馬燈のように駆け巡り、
涙が溢れることもありました。
すごく苦しい5か月間でしたが、
「この日の為に、私は生きてきたんだ。」と
思いました。
それぐらいみなさんと会ってお話できたことが、
しあわせでした。
(中略)
会えた時間は一瞬でも、
会えた思い出は一生です。
最後に皆さんとお会いして、
『ファンの皆さんと出会うために、私はアイドルになったんだ』と思いました。
私のことを見つけて、会いに来てくれてありがとう。
皆さんに出会えて、応援してもらえて幸せです。
またお会いできるように、夢に向かって頑張ります。
またね。」
<最後の握手会での山口真帆さん 2019年5月>
後半は、2019年5月18日に、新潟のNGT48劇場で行われた山口真帆さんら3人の卒業公演「太陽は何度でも」で歌われた曲のセットリストから、3人のデビューから卒業までの思いが込められていると思われる曲の歌詞をいくつか紹介します。
まず、1曲目に歌われたのは、この日歌われた唯一のNGT48の曲「MAXとき 315号」(2016年3月、AKB48「君はメロディ」のカップリング曲として発売)でした。
♪「MAXとき 315号」(作詞:秋元康、作曲:松本一也、歌:NGT48)♪
♪
最後のトンネルを抜けると 近づく美しいあの街
希望が住むと信じてきた
私が生まれ育った すべてを知って欲しい
(中略)
未来はいつも 思ったよりもやさしくて
風景がふと 滲んでくる
夢が叶うと その想いが溢れだして
瞳から 伝えたくなる♪
3人にとって、初めての曲で、「希望が住む」と信じてやってきた新潟での、希望にあふれたデビュー時のことを歌ったのだと思います。
この曲は、2017年1月の「AKB48グループセットリスト」で、数々の名曲を抑えて1位になりました。
続いて、2曲目から、アンコール前の12番目までのセットリストを紹介します。
2 ファースト・ラビット
3 完璧ぐ~のね
4 おしべとめしべと夜の蝶々(菅原、山口)
5 希望について(長谷川)
6 虫のバラード(菅原)
7 ウィンブルドンに連れて行って
8 残念少女
9 ハート型ウイルス
10 キャンディー
11 Only today
12 黒い羊
これらの曲の大半はAKB48グループの曲です。
特に、山口真帆さんらの気持ちが込められていると思われるのが、2曲目の「ファーストラビット」です。
♪「ファーストラビット」(作詞:秋元 康、作曲:楊慶豪 歌:AKB48 2012年)
♪
ある日森の中で見つけた
どこかへ続く洞穴を
周りの友はその暗闇を
ただ覗くだけで動かない
何故だかドキドキしてきて
僕は一番目に走る
傷付くことを恐れはしない
何があっても怯まずに
自分の夢を探しに行く
最初のうさぎになろう
まだ見てない世界を偉そうに
語ってるより泥を跳ねろ
孤独な夜も星を味方に
自分の足跡残すんだ
どんなに不安になっても
僕は誰よりも走る
傷つくたび大人になるよ
涙流して胸痛めて
それでも夢をあきらめない
最初のうさぎになろう
♪
AKB48の2枚目アルバム「1830m」に収められているこの曲は、真っ暗な穴に、誰よりも最初に勇気をもって入っていく、最初のウサギになろう。
という、アイドルの挑戦を歌った、AKB48本体の名曲です。
支配人や社長を相手に、傷つきながらも、まっすぐに真実を語った3人の「ファーストラビット」の決意が見える歌だと思います。
この曲は、AKB48の映画「ドキュメンタリー オブ AKB48」や、NHK教育テレビの「いじめをノックアウト」のテーマソングにもなっています。
ここで、山口真帆さんとともに、NGT48を卒業した2人を紹介します。
菅原(すがわら)りこさんは、2000年11月23日・新潟県聖龍町生まれの18歳で1期生のメンバーです。
長谷川玲奈(はせがわ・れな)さんは、2001年3月15日・新潟県胎内市生まれの18歳で、1期生です。
この二人は、四面楚歌の中でも、山口真帆さんに寄り添った本当の親友ということですね。
コンサートのアンコール前の最後の曲は、マスコミでも報道されたように欅坂46の「黒い羊」でした。
♪「黒い羊」(作詞:秋元康 作曲:ナスカ 歌:欅坂46)♪
♪
黒い羊 そうだ 僕だけがいなくなればいいんだ
そうすれば 止まっていた時計は
また動き出すんだろう?
全員が納得する答えなんか あるものか
反対が僕だけなら いっそ無視すればいいんだ
みんなから説得されるほうが 居心地悪くなる
目配せしている仲間には 僕は厄介者でしかない
真っ白な群れに 悪目立ちしてる
自分だけが 真っ黒な羊
と言ったって
同じ色に染まりたくないんだ♪
実は、山口真帆さんは、NGT48のオーデションを受けていた同じ時期(2015年夏)に、「欅坂46」のオーデションも受けていて、そちらも最終オーデションに残っていました。
NGT48の合格発表が2015年7月で、欅坂46の合格発表が2015年8月でした。
1カ月発表が早かったNGT48に山口さんは入りましたが、もし時期が逆だったら、山口真帆さんは欅坂46の人気メンバーになっていたかも知れません。
運命は皮肉ですね。
ここまで、山口真帆さんら3人だけのコンサートの話をしてきましたが、実はこの日、彼女たちのコンサートには、ゲストとして5人+2人の仲間も参加しました。
「山口真帆さん、菅原りこさん、長谷川玲奈さんの卒業公演の写真(前列)」
(駆け付けたメンバーも後列に)
この写真は「卒業公演」の記念写真ですが、3人の後列には、7人の仲間がいます。
日下部愛菜(くさかべあいな・2002年神奈川県生まれ17歳)さん、
小熊倫実(こぐまつぐみ・2002年新潟市生まれ、16歳)さん、
角ゆりあ(かどゆりあ・石川県出身、18歳)さん、
高沢朋花(たかざわともか・2003年新潟県新潟市出身 15歳)さん、
高橋七美(たかはしななみ・宮城県出身、17歳)さんの5人です。
この5人も、3人とともに「黒い羊」を歌いました。
ほかにも、山口真帆さんらの応援はいました。
ケガでパフォーマンスには参加できなかった渡邊歩咲(わたなべほさき、山形県出身18歳)さん、
山口さんが襲われた時に助けに来た村雲颯香(むらくもふうか、秋田県出身21歳)さんは手紙を読むため登場しました。
山口真帆さんの仲間は、少なくても7人がNGT48に残っているということになります。
また、この卒業公演には、AKB48総選挙で4回の1位をとった指原莉乃さんが、お忍びで見に来ていたそうです。
さらに、アンコールでは、AKB48の総合プロデューサーの秋元康さんが、山口真帆さんら3人のために書き下ろした新曲「太陽は何度でも」が披露されました。
AKB48本体で、1度も選抜入りしていないメンバーの楽曲を、秋元康さんが書くのは、異例だそうです。
コンサートのアンコールの「セットリスト」です。
13 この涙を君に捧ぐ
14 太陽は何度でも
15 桜の花びらたち
最後に、この書き下ろし曲「太陽は何度でも」の歌詞を紹介します。
♪
通り過ぎる
木漏れ日が降り注ぐ音を聴いた
今夜出ようと決心した
♪
今回のNGT事件は、「アイドルとは何か。運営とは何か。」を改めて考えさせられました。
2018年の選抜総選挙で2位になった、SKE48の須田亜香里さんは、テレビでこう言いました。
「(暴行に協力するような)そんなメンバーがいると信じたくないけど、万が一本当だったら、そのメンバーを許したくない。
もしファンと交際したいという感情が湧いた時点で、アイドルじゃなくていいし、やめるべき。
全てのファンを平等に愛せないアイドルは、アイドル失格。みんなを特別に愛するのが私のモットーです。」
すごい名言だと思いました。
普通の女子は自由に恋愛できるけど、アイドルはすべてのファンを平等に愛すべきだと言うことですね。
ファンは、「真っ白でまっすぐな心をもったアイドル」(という幻想?)を求めているのだと思います。
それからすると、山口真帆さんたちを卒業させ、「灰色」や「真っ黒(元支配人談)」なメンバーを守ったNGT48に対しては、ファンやマスコミは厳しいと思います。
NGT48に未来があるとすれば、山口真帆さんらの卒業コンサートに友情出演した7人をはじめ、個人的にアイドルハンターとつながりのない「真っ白な」メンバーだけを残し、加えて新たなメンバーを募集する方法しかないような気がします。
一方のまほほんこと、山口真帆さんは2019年5月25日に、速水もこみちさんや竹野内豊さん、川口春奈さんや榮倉奈々さんら、多くの俳優・女優が所属する大手芸能事務所「研音」に移籍しました。
大きなトラブルや圧力を乗り越えて、山口真帆さんたちが「新しい夢」に挑戦していってほしいと心から思います。
がんばれ「まほほん」。