2015年2月に全国ロードショーされる映画「くちびるに歌を」(監督・三木孝浩、原作小説・中田永一、主演・新垣結衣)のモチーフになっている歌が、アンジェラ・アキさんの「手紙~拝啓、十五の君へ」です。

  「手紙~拝啓、十五の君へ」は、アンジェラ・アキさん(1977年~、徳島県出身)の作詞・作曲・歌による名曲です。

  この歌は、2008(平成20)年のNHK全国学校音楽コンクール中学校の部の課題曲として作られました。


 また、同じ年のNHK「みんなの歌」でも紹介され、オリコンチャートでは、週間3位、2008年年間ヒット45位、2009年年間ヒット71位にランクインして、21万枚以上を売り上げました。
 アンジェラ・アキさんは、この曲で2008年の紅白歌合戦に初出場しています。



  さて、曲の内容を紹介します。(以下[♪ ♪]は、歌詞の中身)

  この歌は1番では、十五歳の僕が未来の自分へ手紙を書く形になっています。 
  この部分で、紹介したいのは次の一節です。


[♪
負けそうで 泣きそうで 消えてしまいそうな僕は 
誰の言葉を信じ歩けばいいの?
ひとつしかないこの胸が 何度もばらばらに割れて
苦しい中で今を生きている ♪]


 いじめ、登校拒否、受験勉強、そして恋愛。
 十代の若者たちは、薄氷を踏む思いで、ガラスの青春を生きているのです。
 この歌は、大人に対する正直な告白です。


<写真:十五歳の中学生の卒業式>




 一方、この歌の2番では、いわば1番の返歌の形で、大人から十五歳の若者へメッセージを贈っています。


[♪
自分とは何でどこへ向かうべきか 問い続ければ見えてくる
荒れた青春の海は厳しいけれど 明日の岸辺へと 夢の舟よ進め

(中略)
大人の僕も傷ついて 眠れない夜はあるけど
苦くて甘い今を生きている ♪]

 

  厳しく辛い青春の日々も、自分の声を信じて歩いて行ってほしいと、大人から若者へのメッセージを送ります。
  そのあと、大人だって傷つきながら生きているんだよと、若者に大人の悩みを打ち明けています。


  最後の3番は、作者(アンジェラ・アキ)から、歌を聞いているみんな(自分も含めて)への励ましのメッセージじゃないかなと思います。


[♪
人生の全てに意味があるから 恐れずにあなたの夢を育てて
Keep on believing

(中略)
 
いつの時代も悲しみを 避けては通れないけれど
笑顔を見せて 今を生きていこう ♪]


 イスラム国や小中学生の殺人事件など、殺伐とした社会に生きる人たち全員に、旅立ちの歌でもあり、世代間の励ましの歌でもある、この名曲「手紙」を贈りたいと思います。
 ちなみに、この歌を歌ったアンジェラ・アキさんは、アメリカで勉強するために、今、休業しています。