朝ドラ「ブギウギ」最終回に橘先輩(翼和希)、松永(新納慎也)ら懐かしい面々勢ぞろい おでん屋台・伝蔵(坂田聡)たちからの花も SNS「みんな大集合」「早くもロス」

NHK連続テレビ小説「ブギウギ」の最終回(第126話)が29日、放送され、ヒロインの福来スズ子(趣里)を支えてきた懐かしいメンバーが勢ぞろいし、視聴者から歓喜の声があがった。

戦後の大スターで「ブギの女王」として人気を博した歌手、笠置シヅ子さんをモデルに、趣里演じる主人公が多くの困難を乗り越えて歌手の道を突き進み、人々に勇気と希望を与えていく姿を描いた朝ドラ「ブギウギ」。この日は本編の最終回で、スズ子が歌手の引退コンサートを行い、大勢の仲間たちが会場に駆けつけた。

第26週「世紀のうた 心のうた」(第122〜126話)では、恩師の羽鳥善一(草なぎ剛)から歌手引退を大反対されたままのスズ子が、多くの記者たちの前で引退会見を実施。引退会見を終えても善一と話ができないままでいたスズ子に対し、「ブルースの女王」茨田りつ子(菊地凛子)は2人できちんと話するべきだと助言し、善一の妻、麻里(市川実和子)も、スズ子と話をすべきだと夫に伝えた。その後、スズ子の家を善一が訪ね、これまで苦楽をともにし、数々の名曲を生み出してきた2人は心の底から思いを語り合った。スズ子は、「歌手・福来スズ子」を作ってくれたことに感謝。「先生のおかげで、ワテ最高に楽しい歌手人生を送れましたわ」と泣き笑いで頭を下げた。善一は涙を流しながら「最後にもう一度、こんなしょうもない僕と遊んでくれないか」と語りかけ、最後に観客の前で歌って楽しく終わろうと提案。スズ子も「はい、よろしゅう頼んます!」と快諾し、引退コンサートの開催が決まった。

最終回では、りつ子や一人娘の愛子(このか)らが見守るなか、スズ子がさよならコンサートの舞台に登場。歌を愛し、家族を愛し、義理と人情に満ち、ズキズキワクワクしながら、多くの人々に歌で勇気を与え続けたスズ子が歌手として最後のステージに立った。客席には、スズ子の元マネジャーの山下達夫(近藤芳正)、村山興業の元東京支社長で、現在は専務の坂口(黒田有)、大阪・梅丸少女歌劇団(USK)時代の同期、桜庭和希(片山友希)とリリー白川(清水くるみ)、後輩の秋山美月(伊原六花)、男役トップスターだった橘アオイ(翼和希)、USK音楽部長の林嶽男(橋本じゅん)、東京・梅丸楽劇団(UGD)の演出をしていた松永大星(新納慎也)、UGD制作部長の辛島一平(安井順平)、パンパンガールのリーダーだったおミネ(田中麗奈)たちがかけつけた。

また楽屋には、幼なじみのタイ子(藤間爽子)、元付き人の小林小夜(富田望生)らから手紙が届いたほか、スズ子が通っていたおでん屋台の店主、坂田伝蔵(坂田聡)や、上京してきたばかりのスズ子が住んでいた下宿屋の主人、小村チズ(ふせりえ)・吾郎(隈本晃俊)夫妻、戦時中に地方巡業をしていた「福来スズ子とその楽団」の元メンバー一同から贈られた花も並べられていた。

朝ドラの最終回らしく、主人公を支えてきた登場人物たちが次々に登場する展開に視聴者も大興奮。SNSには「ブギウギオールスター勢ぞろいや」「みんなそろい踏みで泣いちゃう」「いや〜!みんな大集合やんか」といったコメントが殺到した。また、昨年10月2日から始まった「ブギウギ」が終わり、早くも喪失感を抱くネットユーザーも続出しており、「早くもロス」「わーん終わっちゃった とっても楽しかった!」「ブギウギ終わっちゃった 半年間ありがとうございました」「はあ〜終わってしまったぁ〜」などのポストも続々と寄せられている。

 

 

ブギウギ:最終回はこれぞ“ブギの女王”の集大成 “スズ子”趣里の「東京ブギウギ」圧巻の生歌に「鳥肌立った」 指揮者に驚きの声も

 趣里さんが主演するNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ブギウギ」(総合、月~土曜午前8時ほか)の本編の最終回(第126回)が3月29日に放送された。同回では、スズ子(趣里さん)の「さよならコンサート」の様子が描かれ、趣里さんの“生歌”パフォーマンスが視聴者の間で話題になった。

 

「ブギウギ」最終回 「おわり」表記なし「機会があればスピンオフも」

[ 2024年3月29日 08:15 ]

連続テレビ小説「ブキウギ」最終回で「東京ブギウギ」を歌うスズ子(趣里)(C)NHK
 

 【牧 元一の孤人焦点】俳優の趣里(33)が主演したNHK連続テレビ小説「ブギウギ」が3月29日の放送で終了した。最終回は主人公の歌手・スズ子が「さよならコンサート」でヒット曲「東京ブギウギ」を歌う場面が描かれた。

 制作統括の福岡利武氏は「初めての生演奏でした。撮影は1月下旬でしたが、音響効果担当の伊東俊平くんが年末くらいに『生演奏の方が感動的な場面になる』と提案したのです。生演奏と生歌を同時に録音するのは技術的にかなり大変なのですが、伊東くんの熱い思いもあり、物語をここまで積み上げてきた集大成としてやってみようと思いました」と明かす。

 生演奏は羽鳥善一(草なぎ剛)のモデルとなった作曲家・服部良一さんの孫でこの作品の音楽を担当した服部隆之氏が指揮。編曲された「東京ブギウギ」は善一のピアノ伴奏でスローテンポで始まり、途中から一気に盛り上がる構成。趣里、草なぎ、服部隆之氏の3人が共演する特殊な映像となった。

 福岡氏は「時空を超えていろんなことを感じて頂きたいと思いました。あの場面は、スズ子が歌ってきた姿や出会ってきた人々の回想を入れるバージョンもあったのですが、やはり最後はストレートに歌を聴いて頂いた方が良いのではないかと考えました。趣里さんはあの日、朝から練習して午前中に撮影しました。1発OKでしたが、趣里さんが『もう一回歌いたい』と言って、撮影は2回になりました。趣里さんの気持ちが乗った、最後の歌になったと思います」と話す。

 この作品がこれまでの朝ドラと決定的に異なったのは本格的な歌唱シーンが存在したことだ。「ラッパと娘」「大空の弟」「ジャングル・ブギー」「買物ブギー」など、物語の節目には必ず印象的な歌があった。

 福岡氏は「歌の力は凄い!と私自身も思いました。趣里さんにはもの凄く熱心に歌の練習をして頂き、お芝居でのスズ子と歌手としてのスズ子の両方を立派にやり遂げて頂きました。このドラマは、服部隆之さんを含めスタッフ、キャスト全員でステージを作って来られたことが大きいと思います」と語る。

 歌手の笠置シヅ子さんをモデルにし、その壮絶な半生を脚本に結実させた作品。戦争で亡くした弟への思いを込めて「大空と弟」を歌う姿や未婚のまま娘を出産して一人で子育てをしながら歌手を続けて行く姿、自らの出生の問題を乗り越えて未来に向かって行く姿などは史実でありながら劇的だった。

 福岡氏は「笠置シヅ子さんを描くのは難しいと思いましたが、脚本の足立紳さん、櫻井剛さんの力でうまく物語を進めることができました。いろんなことが不思議なくらい有機的、立体的にかみ合い、私の想像をはるかに超えた作品になって、私自身が誰よりも驚いています。これは奇跡的な作品だと思います」と語る。

 最終回は歌唱シーンではなく日常シーンで終わった。その画面に「おわり」の文字はなかった。

 福岡氏は「日常としてまだまだ続いて行くような、自然な終わり方にしました。そこには足立さんの強いこだわりがあって、私も本当にその通りだと思いました。ラストカットに『おわり』と打たなかったのは私のこだわりです。スピンオフを望む声はまだ私のところに届いていませんが、何か機会があればぜひやりたいとは思っています」と語る。

 笠置さんは歌手引退後、役者業に専念したが、服部良一さんの銀婚式記念コンサートに特別出演して一度だけ歌を披露したという逸話が残っている。見たい物語がそこにまだある。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) スポーツニッポン新聞社編集局文化社会部専門委員。テレビやラジオ、音楽、釣りなどを担当。