オレが所属する事務所に

翔ちゃんが履歴書を持ってやって来たのが


オレと翔ちゃんの初めての出逢いだった



日本屈指の一流大学を卒業して

財務省で働いていたエリートが

なぜうちみたいな小さな事務所に⁈って

社長である大ちゃんは最初かなり怪しんでいた



けど実際に面接して

そのやる気と情熱に惚れ込み

逆に頭を下げてうちの事務所にぜひ、

ってお願いして採用したらしい




当時マネージャーがいなかったオレの担当に

入りたてだけど翔ちゃんがなることになった



こんな頭が良いイケメンエリートが

オレの担当なんて萎縮しちゃうよ…って

緊張と不安でいっぱいだった



でも

翔ちゃんはオレを売り出すために

寝る間を惜しんで勉強をしてくれて、

行く先々で 


『うちの相葉をよろしくお願いします』


と名刺を配りながら頭を下げて回ってくれた



そんな仕事熱心な姿に触れていくうちに

オレは少しずつ翔ちゃんを受け入れてゆき

 


いつの間にかそれは 


〝好き〟


という気持ちに変わっていった





「どうしたの?なんか最近キレイになった気するけど、恋でもしてるの?」



ヘアメイク中に潤くんが

鏡に映るオレの顔を見ながら聞いてきた



売れっ子スタイリストである潤くんを

オレの専属にしてくれたのも翔ちゃん


翔ちゃんが選んだ人、という安心感から

潤くんに心を開くのに

そう時間はかからなかった





「う〜ん。。。」


俯くオレ

 


その顔を覗きこみ潤くんが質問を重ねる



「言えないやつ系?相手は人妻とか?」



「まさか!」



「じゃ思いっきし歳下でロリコン?」



「違ぇ〜しっ//!」



「ハハハ冗談冗談」


「もうっ揶揄うなよっ//」




「悪い悪い」


「・・全然・・そんなんじゃないから」







不貞腐れるオレのサイドの髪を梳くい

耳元に顔を近づけた潤くんは囁くような声で



「じゃ片想い?あのマネージャーさんに」



超ど真ん中で


的を射ぬいてきた








つづく……