潤はどうにかして雅紀に思いとどまってほしかった
その先が待つ未来に
優しい雅紀の心が耐えられるはずがないと思ったから
マネージャーで恋人である櫻井は
雅紀を庇って、事故に合い昏睡状態に陥った
体温の調整をはかる視床下部に大きなダメージを受け、連日45℃以上の発熱が続いた
そのため
冷却装置でコールドスリープ状態とし
多臓器不全になるのを防いでいた
だがしかし
これも対症療法に過ぎない
残された道は
臓器移植
しかも
翔が必要な臓器は
〝 脳 〟
心臓のように
脳死のドナーからの提供では意味を成さないため
事実上それは不可能だった
絶望の淵に立たされながらも
翔の命を救うべく奔走する雅紀
そんな彼の前に現れたのが
「助けたいなら創ればいいじゃねぇか」
「そいつのコピー(clone)を」
悪魔の手を持つ医者だった
つづく……