『あれは俺もお前も幼かった頃…

うーん…そうだな、、人の歳で数えたら5、6歳くらいだろうか…』




とつとつと話す翔ちゃんの言葉に

静かに耳を傾けた



『魔界と天界の領域は大きな川で隔てられていて

そこは危険な場所だからあまり近づくなと言われていたんだ』



『その日はたまたま見張りの警護が手薄だったから、興味本意で川の辺りまで近づいたら、対岸で自分と同じくらいの天使を見つけたんだ』



『危なかったしい奴だな。見つかったら矢を打たれ一瞬にして消されるぞ、と思ってしばらく見ていたんだけど、そいつはなかなかそこを離れようとしなくて…』



『俺は川を越えて、言ってやったんだ。

テメェ死にてぇのか⁈って』



『そしたらそいつは円らな目いっぱいに涙を溜めて〝死なせたくないの〟と小さな両手に乗せた瀕死の小鳥を見せて訴えてきたんだ。。』



『よくよく話を聞くと、ここの岸辺に咲く四葉のクローバーの朝露には傷を癒す効果があるらしく

そいつは必死でその四葉のクローバーを探していたんだ』










「・・・で?」



『二人で一緒に探して見つけてさ、その小鳥はみるみるうちに正気を取り戻し羽根を広げて飛んでいったよ』



「よかった…」



『ん』



「・・・・ねぇ、翔ちゃん?

その小鳥を助けようとしていた天使ってもしかして…?」


『名前はマサキ。そう。お前だよ』



「でも…オレ記憶にない」



『・・ん。けど、あのオルゴールボールは覚えていた、よな?』



「うん。大事なものだって記憶はあるんだけど

誰から貰ったかまではハッキリ覚えてなくて。。」


『うん』



「あっ…でもね前にオレが翔ちゃんに内緒で仔犬を助けた時!オルゴールボールから翔ちゃんの声が聴こえたような気がしたの。

翔ちゃんが…くれたんだね?」



『嗚呼。お前がまた性懲りも無く岸辺でウロウロして時に襲われかけたから。

そん時にピンチの時はこれで呼べって。俺が代わりに朝露付きの四葉のクローバー探してやるから、って』


「そう…だったんだ。でもなんで??

なんでそんな大事なことオレは忘れていたの⁈」







『それは…』



「うん。。」





『俺が悪魔だった、から』







つづく……





すみません

過去編もう少し続きます

おつきあいください