今年活躍した超人、印象深かった試合、強いタッグチームはどのチーム?
超人プロレス大賞を見れば、その年の「キン肉マン」が分かる!
※2025年に行われた超人レスリングが対象。477話「クロエからの脱皮‼︎の巻」から514話「憧れへの返礼‼︎の巻」まで。
今年は計4試合が行われた。
⭐︎ウォーズマンvsペシミマン
ソ連(パトムスキー・クレーター)解説ザ・マンリキ
⭐︎ネプチューンマンvsパピヨンマン
レバノン(パールベック)解説クリスタルマン
⭐︎マッスル・ブラザーズⅢvsインダストリアルレボリューションズ
アメリカ カリフォルニア(モハーヴェ砂漠)解説ジェシー・メイビア
⭐︎テリーマンvsエンデマン
スリランカ(シーギリヤ)解説スカイマン
こうして見ると解説陣の人選がピッタリである。
テリーマンにはスカイマン。ウォーズマンにはマンリキ。キン肉マンにはジェシー・メイビア。それぞれ対戦経験のある超人なので、試合の解説も上手かった。
特にジェシーの的確な解説が目を引いた。「山が動いた!」という読者のツボをついた名セリフも飛び出すノリノリっぷり。今回の解説陣の中では最も饒舌だった。おそらくハワイの地元テレビで自身がパーソナリティーの番組の一つも持ってるんじゃないだろうか?と思わせるほど、解説が板に付いていた。
それとは対照的に、クリスタルマンの解説はお粗末であった。
「実に合理的だ」「マズイぞ!」とリアクションを連ねるだけ。マグネットパワーをまとった姿を解説する場面はあったが、ネプチューンマンとの関わりが浅いため説得力があまりない。
そもそも宇宙野武士編自体が番外編的なものだったし、クリスタルマンよなぜ出てきた…。まぁそれは置いといて
世界中のリングに散らばっている五大刻との決戦だが、今年一気に4試合の決着が付くという急ぎ足展開(?)
テンポがよいだけではなく、試合の一つ一つが実に濃密である。「キン肉マン」は46年もの歴史ある作品だが、試合する超人それぞれの背景を踏まえた上で読むと、さらにエモさが倍増する。
2025年という年は、超人レスリングを目一杯堪能できた一年だったと言えよう。
それでは発表しよう。
【最優秀超人賞(MVP)】テリーマン
【年間最優秀試合賞】ウォーズマンvsペシミマン
【最優秀タッグ賞】マッスル・ブラザーズⅢ(キン肉マン&キン肉マングレート)
【新人賞】ミス・パレオ
【功労賞】ハルク・ホーガン
【敢闘賞】キン肉マングレート
【技能賞】ネプチューンマン
【最優秀フィニッシャー賞】ララミージャンゴ(ペシミマン)
【年間最優秀セリフ賞】「お前私の大好物のマスク超人じゃねぇか」(ネプチューンマン)
★ 【最優秀超人賞(MVP)】テリーマン
見事な復活を遂げ、今年を大勝利で締め括ったテリーマンがMVPである!
これまでパンチで試合を組み立てる事が多かったテリーマンだが、キン骨マンから譲り受けた新しい義足の性能が素晴らしく、パンチに加えキックも使えるようになった。まさに再生テリーマンの新境地とも言える活躍を見せてくれた。
エンデマンはマルマロミラーによる心理戦を仕掛けてきたが、テリーマンにそんなものは通じなかった。筋骨隆々の肉体になれなくとも、不屈のブロンコ魂があれば自分の何倍も大きな敵にだって勝てる。今回の試合で披露した技の数々は、現在のコンディションで編み出した研鑽の結果なのである。
従来のテキサスコンドル・キックを両膝でぶちかます、テキサスコンドルランチャー。
そして強烈な関節技、テキサストルネード・リバースショルダークラッシュ。これは古式柔道の体固め腕ひしぎという技で、原作の嶋田先生が現在取り組んでおられる柔術からヒントを得たのではないかと思われる。
さらに従来のカーフ・ブランディングを両膝で決めるカーフ・ブランディング・ガーニッシュ!新技のオンパレードである。
(ちなみにカーフキックも使っていたが、こちらのカーフは「ふくらはぎ」という意味。カーフ・ブランディングのカーフは「子牛」という意味)
今回は「再生テリーマンの新技お披露目会」ともいうべき試合内容であったが、要所要所で使っていたのはお馴染みのクラシックな技たち。
スピニング・トゥホールドやテキサス・クローバーホールドでペースを掴み、フィニッシャーに選んだのはブレーンバスター!
この、ある意味「地味なファイト」に我々テリーマンファンは安心を覚えるのである。
そして愚直な彼の姿に感動するのだ。
★【年間最優秀試合賞】ウォーズマンvsペシミマン
ロボ超人同士によるイデオロギーを賭けた闘い。
維新の神オニキスマンに続きまたもやロボ超人との連戦が続く。それはまるで神が与えた試練かのようだ。
ウォーズマンのロボ超人としての半生は哀しいものだった。
彼の不幸は、父親であるミハイルマンがロボ超人の改造手術を受けた事に発端する。
その理由は「永遠の強さを手に入れたい」という身勝手なものだった。神ではなく人間の手による改造手術。それがいかに愚かな事かこの時の彼はまだ分かっていなかった…。
子供を授かり試合は連勝に次ぐ連勝。幸せは永く続くかに思われたが、試合中の機械異常(オーバーロード)により対戦相手を惨殺してしまう。彼は神の領域に手を出してしまった事に深く後悔し、試合中に自爆する。ニコライという子供を残して。その子供こそが後のウォーズマンである。
ロボ超人の血を引くニコライ少年は、幼少の頃から壮絶な迫害を受ける。そんなある日、ニコライの前に現れたのがSKGB(超人レスラー国家保安委員会)だ。彼らはウォーズマンを一流の超人レスラーに育てるなどと甘い言葉でそそのかすが、狙いは別にあった。それは核をもしのぐロボ超人兵士を量産し西側諸国との戦争に使用するため。ウォーズマンはその第一号というわけだ。
ウォーズマンはSKGBを脱走しロビンマスクと共に超人オリンピックに出場。そこからの躍進は誰もが知るところだろう。
もはや押しも押されぬ一流の超人レスラーへと生まれ変わった…かに見えたウォーズマンだったが、まさか自らの体内にSKGBが仕込んだエクストリームバトルモードが眠っていようとは。振り払おうとしても払いきれぬ忌むべき残滓。しかし遠隔操作による強制発動では逆らいようがない。
「似合ってるじゃねぇか?その見てくれは強そうだ。まだやれるだろ?」と試合続行を促すペシミマン。彼もまたロボ超人なのだが、ウォーズマンのように嘆いているのではなく、どこか達観している。人間の手で生み出されたロボ超人と、神の手で生み出されたロボ超人の違いなのだろうか?
エクストリームバトルモードによる凶悪極まりない攻撃で優勢に立つウォーズマンだったが、硬度9全身コーティングでカッチカチになったペシミマンには通じず、ついにバトルモードが破壊される。
私は毎週読んでいて「エクストリームバトルモードが出たならウォーズマンが絶対に勝つ」という気になっていた。なぜならこの衣装は元々王位争奪編の連載当時の1985年に読者公募で採用されたコスチュームだからだ。
それが40年の時を経て本編に登場したのである。言わば壮大な伏線回収。これは必勝パターンだ。勝てないはずがない!そう思っていた…。しかし現実は厳しかった。
決着の間際、ウォーズマンのユウジョウゲージが急上昇する場面があった。なぜ?ここにウォーズマンの友情パワーをくれる友達は一人もいないはず…。だがいた。
それはペシミマンだ(ここで私は泣いた)
笑える未来はあるのだと説き、ペシミマンと分かり合おうとするウォーズマンだったが、倍プッシュコーティングが全身にまで及びウォーズマンはその動きを停止する。最後はララミージャンゴを喰らいペシミマンが勝利した。
二転三転する緊迫した闘いだった。
「ウォーズマンビギンズ」や読者公募コスチュームなどの伏線回収、それに加えてロボ超人同士による思想の闘い、さらには敵であるペシミマンの魅力が最大にアピールされた素晴らしい試合だったと言えよう。文句なしのベストバウトだ!
★【最優秀タッグ賞】マッスル・ブラザーズⅢ(キン肉マン&キン肉マングレート)
マッスル・ブラザーズⅢが、昨年に引き続きなんと2連覇である!
…まぁ今年行われたタッグの試合はこれしかないのだから、当たり前と言えば当たり前なのだが…だがしかし、私は迷った。
対戦相手のインダストリアル・レボリューションズに賞を与えてはどうか?と。
エクサベーターとガストマンのタッグは、急造コンビとは思えないほど息がピッタリ。それもそのはず。ガストマンは生みの親であるエクサベーターを「旦那」と呼び、まるで神のように崇めているのである。
生きるも死ぬも一蓮托生。試合後にエクサベーターがキン肉マンと話し合いをすると決めたシーンでも、ガストマンは「旦那がそうするってんならオレも」と同調している。
魅力的なタッグチームだった。これから刻の神からの粛清が待ち構えているのかもしれないが、彼らにはなんとか生き残って欲しいものである。
さて、話をマッスルブラザーズⅢに戻そう。
謎に包まれたキン肉マングレートの正体だが、この試合で少しずつそのベールが剥がれてきた。
こめかみに現れた鍵穴のような傷痕。そしてまるで未来を見てきたかのような試合運び。急造コンビのはずなのに、キン肉マンとも息がピッタリ。なおかつキン肉マンがテリーマンとよく使っていた「同志を察するはヘソにあり」という言葉までをも知っていた。
…これはもう「彼」だろう。時間超人の…彼しかいない。
今回の試合中、グレートはよく泣いていた。
過酷な未来を見てきた彼だからこそ、未来である男とタッグを組んだ彼だからこそ、この時代でキン肉マンと組んで試合する事の意味に感極まり、涙したのではないだろうか。
キン肉マン「ヘソを合わせることに集中するんだ!その先に未来が待っているー!」
グレート「未来!そうっアンタの口からその言葉を聞けただけでオレは…オレは〜っ」
謎の声「行くよカオス!」
マッスル・ドッキングを決めんとするこのシーンで、グレートの脳裏に響いた謎の声。これが誰の声なのかは「キン肉マン2世」を読んだファンなら知っているだろう。そしてグレートは次のセリフを口にする!
グレート「股間にイチモツ手にニモツーッ!」
私はこの場面を読んで不覚にも涙してしまった。
やがて来るであろう「未来」で、共に闘うその男がよく口にしていたセリフだったのだから。
★【新人賞】ミス・パレオ
本編で初登場した超人がいないので、「今週の採用超人」から選出。
選ばれたのはミス・パレオだ。このデザインにはやられたなぁ。
パレオとは腰に巻く布の事だ。元々はタヒチの民族衣装だが、今はもっぱら海水浴をする際の水着や日常のファッションとして広く普及している。
パレオをモチーフとするならビキニを着たブロンドヘアーの女性超人を思いつきそうなものだが、あえて全身タイツの覆面超人にして、胸に「MP」とイニシャルロゴを配置したのが素晴らしい。見た目は、バミューダⅢのようなブラックホール派生デザインだが、ボディラインで女性超人だということが分かる。
「ブラックホールの親戚かな?」「バミューダ3の従姉妹かな?」などと想像も膨らむ。いやいやタヒチだから地理的にハワイ出身のジェシー・メイビアと顔見知りという線も…どうでもいいか。
★【功労賞】ハルク・ホーガン
7月24日、ハルク・ホーガンが亡くなった。
「キン肉マン」ファンにとってのホーガンは、完璧超人ネプチューンマンのモデルとして馴染み深いレスラーである。
訃報が飛び込んできた時、ちょうどネプチューンマンが試合をしていたのも、ある意味虫の知らせだったのか…(虫と試合してたし)
単行本90巻の作者コメントではそのホーガンについて触れられている。このコメント、普段なら表紙側だけだがこの時ばかりは先生も語り足りなかったらしく、裏表紙側にまで及ぶ長文コメントになっている。
長年に渡り世界のトップレスラーとして君臨し「キン肉マン」においてもネプチューンマンの元ネタとして多大なるインスピレーションを与えてくれたハルク・ホーガン。彼の偉大すぎる功績にこの賞を捧げたい。
★【敢闘賞】キン肉マングレート
まだその正体は明かされていないが、中身はきっとあの男だろう。
はるか未来から訪れて、その使命を全うすべく五大刻との闘いに身を投じたその精神には敬服しかない。文句なしの敢闘賞。
★【技能賞】ネプチューンマン
マグネットパワーを使いこなし、パピヨンマンに「余裕勝ち」したネプチューンマンが技能賞!
・サンダーサーベルを石のリングに落とし強力な磁場に変え、パピヨンマンの落下技を無効化。
・砂鉄を使ってビッグ・ザ・武道のアバターを作り、クロスボンバーを可能とした。
これほど自在に使いこなせるのは地球上にはもはやネプチューンマンしかいない。
しかしマグネットパワーは今や宇宙を壊す破滅の力である。それを止めるのは自分しかいないと自覚したネプチューンマンは、自らがマグネットパワーの番人である事を宣言する。その矜持にあっぱれだ。
★【最優秀フィニッシャー賞】ララミージャンゴ(ペシミマン)
ウォーズマンとの激闘を制した大技。
エクストリームバトルモードすら打ち破ったペシミマンの圧倒的実力。彼の厭世的な存在感込みで、今年もっとも印象が強かった大技だったと言える。
★【年間最優秀セリフ賞】「お前私の大好物のマスク超人じゃねぇか」(ネプチューンマン)
上のカットに注目。それまでなかったパピヨンマンの首にマスクを表す線が描かれているではないか。芸が細か〜い。
今回は迷いに迷った。なぜなら名セリフの豊作年だったからだ。以下がノミネートの一覧だ。
1「お前私の大好物のマスク超人じゃねぇか」(ネプチューンマン)
2「笑える未来は…あるんだよペシミマン!」(ウォーズマン)
3「だってオレのヘソはまだあんたのヘソを感じている〜っ」(キン肉マングレート)
1は𝕏のキン肉マン界隈でネットミーム化したし、2は感動した。嘆くのではなく一緒に笑える未来を作ろう。同じロボ超人であるペシミマンをトモダチだと言って分かり合おうとしたウォーズマンの言葉に涙した。3もまた感動のセリフ。一見するとホモくさく聞こえるが、世代を超えたバディとして親子共々キン肉マンよあんたはオレの最高のパートナーなんだと不器用なりに発した魂のセリフ。胸に響くものがあった!
どれか一つに絞るのももったいなく感じ、3つを同時受賞させようかとも思った。2013年の流行語大賞が4つ選ばれたように(「今でしょ」「じぇじぇじぇ」「お・も・て・な・し」「倍返しだ」)、そんな年があってもいいじゃないか。それほど今年は豊作だった。選びきれない。迷う…。
そこで私は𝕏の投票機能を使ってみる事にした。超人プロレス大賞初の試みである。その結果は…
「お前私の大好物のマスク超人じゃねぇか」(ネプチューンマン)に決定!
うん、納得。
ちなみにこの翌週、ペシミマンが似たような言い回しをしている。
パピヨンマンの劣勢をモニターで見ていたペシミマンが、似たセリフで正義超人側に皮肉な意趣返し。もしそうだとしたら面白い。

















































