F男の病的希求日記 「生きることとみつけたり!」 -310ページ目

呼吸状態悪化の理由をX線で捉えてみる

以前勤めていた病院でのことですが、人工呼吸器装着中の右側臥位をとっている患者さんの体位変換を看護師3人でおこなっていました。


下側肺障害予防の目的で臥床状態(フラット)にはせず、そのまま左側臥位にしました。

すると突然100%近かったSpO2が90%にまで低下しました。

人工呼吸器の作動状況に問題はなく、体位変換前に聴取できていた左肺野の呼吸音が消失していました。

痰が貯留しているのではないかと考え、気管吸引を実施してみますが、泡沫状の痰が少量吸引できるだけでSpO2は改善しませんでした。

その後、患者を臥床状態のままでしばらく経過するとSpO2は上昇してきたので、医師に報告、相談したうえで左側臥位は禁止になりました。


実はこのとき、胸部X線写真では、患者さんの両肺野に胸水が認められていました。

右側臥位になっていた患者さんの体位を短時間で左側臥位にしたため、肺野にある胸水が左肺側に貯留し、一過性の低酸素血症になったと考えられます。


このとき左側臥位の禁止は一時的な対応としてはよいかもしれませんが、今度は右肺野の酸素化能が低下して、より重篤な合併症を併発するおそれがあったと考えます。


患者の胸水貯留が胸部X線写真で確認できているなら、体位変換時にいったん臥床状態とし、呼吸状態を観察のうえ、5から10分程度の時間をかけながら、段階的に体位変換をすることでSpO2の低下は防げていたのではないかと考えます。