サインバルタ。
サインバルタ(一般名:デュロキセチン、海外の商品名;Cymbalta)
2010年4月にサインバルタが発売され、もうすぐ2年。
日本での商品名が「サインバルタ」とされたのは、似たような既発売の薬物があるためである。
これと同じような変更は過去にもジェイゾロフト(ゾロフト)、エビリファイ(アビリファイ)にも見られる。
サイバルタはアメリカ、イーライリリーによる開発で、日本では塩野義製薬とイーライリリーの併売になっている。
イーライリリーの日本での向精神薬としてはジプレキサとストラテラが有名である。
サイバルタはSNRIにカテゴリーされる薬物で、選択的セロトニンおよびノルアドレナリンの再取り込み阻害作用を持つ。
日本で既に販売されているトレドミンと同じ系列。
余談だが、トレドミンはアメリカでは発売されていないばかりか、既発売の国でも疼痛にしか適応がないこともある。
今回、日本での効能は「うつ病・うつ状態」であり、一般的な海外の適応より狭い。
実はサインバルタは糖尿病による神経因性疼痛に有効だからである。
シンバルタはアメリカで最初に「糖尿病による神経因性疼痛」に適応が認められた薬物なのである。
☆海外での適応状況☆
日本での適応の範囲がいつも今ひとつケチになるのは、厳格な臨床試験のルールも関係していると思う。
マイスリーなどは見切り発車で発売されたが、未だに統合失調症やうつ病にレセプト的に使えない状況にある(処方した場合、減点として返ってくる)。
海外では統合失調症やうつ病にも処方されているので、決して相性が悪いと言うわけではないのだが。
これは女性に多く、アメリカではやがて効能追加になると思われる(もう認可されたかもしれない)。
アメリカでは20㎎、30㎎に加え、60㎎カプセルも発売されている。
このカプセルの意味であるが、サインバルタは悪心の副作用が出やすいため遅延放出型カプセルが選ばれているよう。
このため、服用後2時間後くらいから吸収され始め、服用後6時間で最高血中濃度に至る。
食事の影響を受けやすく、食物のために最高血中濃度が6~10時間遅れると言われる。
血中半減期は約12時間(8~17時間)で3日目に定常状態になると言われる。
サインバルタは肝臓で代謝される。
また代謝産物は70%が尿中に、20%が糞便中に排泄されるらしい。
これらから、大酒飲みはサインバルタは服用すべきではない(そもそも向精神薬とアルコールの併用は止めてほしいが)。
また肝機能障害、末期腎不全、狭偶角緑内障の患者さんも処方を避けるべきで。
用法、用量については、細かいことはイーライリリーのホームページでは見てくださいませ。
通常、成人には1日1回朝食後、デュロキセチンとして40mgを経口投与する。投与は1日20mgより開始し、1週間以上の間隔を空けて1日用量として20mgずつ増量する。
なお、効果不十分な場合には,1日60mgまで増量することができる。
サインバルタの副作用は、悪心、口渇、めまい、便秘、疲労感、食欲不振、傾眠、発汗である。
悪心は最も中止の原因になる副作用である。
また、中止の際に離脱症状が酷いため漸減しなくてはならない。
また、トレドミン、サインバルタ、ベンラファキシン(エフェクサー)は同じSNRIのカテゴリーの薬物だが構造式が全然似ていない(SSRIも同様)。
これら3剤は古典的3環系抗うつ剤とは異なる薬物であるが、セロトニン、ノルアドレナリンのダブルアクションという視点では、かつての3環系抗うつ剤と似ている。
SSRIやルジオミールがむしろ特異なのである。
SNRIを増量していった場合、セロトニンとノルアドレナリンの増加のパターンの変化についてはまだ良くわかってない面があるが、ベンラファキシンの場合は高用量域ではノルアドレナリンの再取り込み阻害作用がより大きくなると言うエビデンスがある。
サインバルタについてはまだよくわかってない。
トレドミンなどは高用量になると高血圧や頻脈のために減量せざるを得ない人がいる。
こういう人はノルアドレナリンの作用が強く出すぎていると感じる。
また海外では、サインバルタは60㎎を超える高用量では、より有効性が高まると言う結果が出なかったらしい(高用量では用量依存性がない)。
また60㎎を超えると、忍容性に問題が出てきやすくなるそう。
日本での60㎎までで処方される理由はその辺りも関係していると思われる。
サインバルタのFDAによる催奇形性カテゴリーはCである。これはジェイゾロフト、デプロメール、リフレックスなどの抗うつ剤と同じになっている。
サインバルタの興味深い薬理作用として、「自発性の膀胱排泄のコントロールが行なえないストレス性の尿失禁」に有効であるそうで。 糖尿病性疼痛障害・・・95カ国
大うつ病・・・・・・・96カ国