タバコ1日40本。
先日、入院してきた患者さんのタバコの臭いがあまりも酷いので、1日何本吸っているのか聞いてみた。
なんと1日40本らしい。
銘柄はマイルドセブンだという。
僕はタバコを吸わないので、この数と臭いには驚愕…。
マイルドセブンは現在410円もするので、2箱吸えば820円。
1ヶ月では24600円にもなってしまう。
これは経済的にも大きすぎる。
このペースで1年吸えば295200円、10年では2952000円!
新車が買えるじゃないか!
以前、ウチの病院でも喫煙はOKだった。
当時、入院患者さんは最高1日20本までのルールだったが、実際にはお小遣いの関係で10本だとか5本くらいで、20本吸っている人は少なかった。
ただ、精神科病院の入院患者は喫煙率がとても高いのである。
ある時、どのくらい院内で煙と消えているかおおまかに計算してみたことがある。
入院患者さん300人のうち寝たきり患者さんとか全然吸わない人たちを多めに見積もって100人いるとして、200人が喫煙群とする。
彼らは平均10本弱を1日に吸うので、だいたいタバコ代としては、当時は1日100円くらいだろう(銘柄的に比較的安価なタバコを吸っていることもある)。
病院内で1年間に消費されるタバコ代=100円×200人×365日=730万円!
なんと、スカイラインGT-R1台分より高かったのである。
ここで、タバコの功罪について考えてみる。
タバコのために肺癌が増えるなどという誰でも知っていることは省略する。
タバコのプラス面
①抗精神病薬の副作用、パーキンソン症状を緩和。
②ぼんやりした頭をはっきりさせる。
③抗精神病薬によるイレウスを抑制する(つまり便秘に効く)。
タバコのマイナス面
①口渇が酷くなるので水分を取りすぎる。水中毒をたぶん促進。
②向精神薬の効果を弱めるために、多めの薬物が必要になる。
③タバコは患者さんには高価なので金銭的に困ること。
上記、イレウスの抑制だけど、ときどき噂に聞くのだが。
タバコはイレウスには抑制的に働くのである。
タバコは腸管の動きを促進するのであろう。
そういえば、昔の彼女がタバコをぷか~と吸いながら、「タバコを吸うと便秘にならないのよね」
などと言っていたのを思い出した。
問題は、肺梗塞や深部静脈塞栓症などの血液が固まる系の疾患とタバコの関係である。
一般的には、タバコはこういう疾患にはもちろん悪い。
しかし、精神科患者の場合、これらの疾患群についてはちょっと違うような気がしている。
このような血液が固まる系の疾患は偶然起こるように見えることもあるが、なにがしか精神症状の変化と関係していることが多い。
精神症状がすごく悪い時やこれから悪化する直前に起こったりする。
タバコを吸う患者さんは、口渇の関係もあり水分を通常の人より多く摂る。
サッカーの高原が肺梗塞(エコノミークラス症候群)になったのは飛行機の中で長時間水分も摂らずに寝ていたからだ。
だから水分の摂取量が非常に重要で、この点からも、タバコを吸う患者さんは水分摂取がどうしても多くなるので、おそらく喫煙は肺梗塞にはトータルでは中立なのだろうと思う(プラスとマイナスが相殺するということ)。
あと余談だが、薬の中にこの肺梗塞や深部静脈塞栓症を抑制するものがある。
例えば、桃核承気湯(ツムラ61)は便秘、統合失調症などに処方される実証の漢方薬だが、もともと瘀血(おけつ)の薬なので、血をサラサラにするのである。
こういう薬を服用していると、上の疾患に限らず脳梗塞も起こしにくい。
瘀血とは「血の滞り」という意味。
あとサフランも同様な効果があると言われている。
-まとめ-
タバコは
①抗精神病薬の副作用を軽減。
②イレウスを抑制。(便秘に効果)
③水中毒を促進。
④肺梗塞には中立かもしれない(個人的見解)。