「僕の親友に渡部君て云う、自由を愛する
ジャーナリスト気質の子が居てね
ある日、ポカポカ陽気に誘われて
学校の裏山の草むらで仰向けに寝転がって
ザ・ハイローズの"日曜日よりの使者"を
口ずさんでたんだよ
『このま~ま~~どこか遠くえ~
連れてって~~~くれないか~~
君は~~君こそペタッ』て何かが
顔に落ちて来て視界が真っ暗に成っちゃって
思わずそれを引っ掴んで豪速急で
投げ捨てちゃったんだ
で!タマタマそこに国広先生が通りかかって
渡部君が投げ捨てた"辺りで"
"黒うさぎ"を踏ん付けた瞬間
今、話した出来事が始まったんだ」
「投げ捨てたのは、兎ね…」
「渡部君が何を投げ捨てたのかわ聞いてないよ」
「そ~…
でも渡部君は草むらからず~っと視てたのね
国広先生を助けもせず」
「ジャーナリスト気質の、渡部君を
知らない人からすると
確かに・・・誤解を招くよね」
「誤解って、どう云う事?」
「昔ね、戦場カメラマンのケビン・カアターて云う人が居てね
彼は、スーダンの内紛の為に今にも
餓死してしまいそうな少女と、少女の死を後ろから
じっと待つハゲワシとの2ショット写真を
撮ったんだけど
彼のその写真は今にも戦争と飢餓で消え欠けてる
命の炎を表現してると云う高評価で
報道カメラマンとしての最高の賞
ピューリッツァー賞を貰ってね
でも、その写真が有名に成れば成る程、
何故?彼は、少女を助けなかったのか?
て云う、非難の声が大きく成って
評論家連中からも『写真は最高だが
人としては最低だ!』なんてバッシングをうけてね
でも!現場に居た他のカメラマン
の証言では、本当は写真を撮った後
彼は急いで少女を助けたんだ
でも結局・・・
非難のプレッシャーに、耐えられなく成った彼は
自殺してしまうんだ」
「凄く悲しい、お話しね」
「ジャーナリストと云うのはね
強い覚悟と使命感を持たなければいけない
今、目の前で起きてる悲劇をキッチリ!
世界に向けて伝え切るて云う強い
信念と使命感を、胸に秘めてね
例え、その伝えた真実が元で、
自分が非難や糾弾される事が有ったとしても
断固なる覚悟が在れば、
必ずやり通せるモノなんだ
放課後の校舎の屋上で
沈む夕日を視ながら
渡部君は、いつか言っていたものだよ
『俺は自由だ・・・でも孤独だ
何かを得るには何かを捨てなきゃならね~
俺には生まれ持ってのジャーナリスト気質がある
だからあえて今は…孤独を選ぶんだ
この道を極める為に』
僕は渡部君の言葉を聞いて
猛烈に感動したよ
普段はオチャラケてて、クラスのみんなに
見て来た事や聞いて来た事を
面白可笑しく着色して話してくれて
あの、いつも不真面目で頭をパツキンに染めてる
一見チャラ男にしか見えない
あの渡部君がだよ」ワナワナ
「渡部君は本物のジャーナリスト・バカね」
「そうさテレビ局なんかに勤めてる
サラリーマン・ジャーナリストもどきの、
ニュース・ペーパー・ペラペラ野郎より
よっぽど!渡部君の方が、
ジャーナリスト魂を持ってる
ジャーナリスト・大バカ野郎なんだよ
あの日の渡部君の行動は、後日に成って、
合点がいったけど僕には解ったんだ」
「どう云う行動をしてたの?」
「え~とね・・・朝の1時間目の
数学の時間は確かに居たんだよ
武田先生に『バカチンが~黒板の問題、
解けっ』て、渡部君が指されて
『ちょ~やべ~よ先生の字、
読めね~よ』て、言ってたから
けど2時間目が始まったら
すでに居なく成ってて
それから昼の給食の時間は
走って戻って来て肩で息を切らせながらも
パンとホワイトシチューを
ガツガツ豚みたいに食ってブ-
デザートのマンゴゼリーをパックの
まんま引っ掴むと、又どこかに
脱兎の如く走って居なく成って
その日、最後の授業が自習に成って」
「国広先生、居ないものねニコ」
「そうだよニヤ
僕が、ボ~ッとして教室からグラウンドを
眺めてたらなぜか僕のクラスの
渡部君が体操服に着替えてて
体育の室伏先生の背中を押してワッショイ
どこかに連れて行こうとしてたんだ
あれは!渡部君に間違いないよ
赤白の体育帽子から、はみ出してる
パツキンの子なんて、この学校では
渡部君しか居ないからね」
「ま―ァ!じゃあ、最後に国広先生の命を助けたのは
渡部君なのねニコ」
「そうだよニコ
本人はあえてそんな事、言はないけどね
人間の暖かみを持った本物の
ジャーナリスト気質だよ
渡部君は」
「光君と渡部君とは仲が良いのね」
「そうだよニコ・・・そうだ
今度は君の話しを聞きたいんだけと…いいかな」
「いいわよニコ」
つづく
ジャーナリスト気質の子が居てね
ある日、ポカポカ陽気に誘われて
学校の裏山の草むらで仰向けに寝転がって
ザ・ハイローズの"日曜日よりの使者"を
口ずさんでたんだよ
『このま~ま~~どこか遠くえ~
連れてって~~~くれないか~~
君は~~君こそペタッ』て何かが
顔に落ちて来て視界が真っ暗に成っちゃって
思わずそれを引っ掴んで豪速急で
投げ捨てちゃったんだ
で!タマタマそこに国広先生が通りかかって
渡部君が投げ捨てた"辺りで"
"黒うさぎ"を踏ん付けた瞬間
今、話した出来事が始まったんだ」
「投げ捨てたのは、兎ね…」
「渡部君が何を投げ捨てたのかわ聞いてないよ」
「そ~…
でも渡部君は草むらからず~っと視てたのね
国広先生を助けもせず」
「ジャーナリスト気質の、渡部君を
知らない人からすると
確かに・・・誤解を招くよね」
「誤解って、どう云う事?」
「昔ね、戦場カメラマンのケビン・カアターて云う人が居てね
彼は、スーダンの内紛の為に今にも
餓死してしまいそうな少女と、少女の死を後ろから
じっと待つハゲワシとの2ショット写真を
撮ったんだけど
彼のその写真は今にも戦争と飢餓で消え欠けてる
命の炎を表現してると云う高評価で
報道カメラマンとしての最高の賞
ピューリッツァー賞を貰ってね
でも、その写真が有名に成れば成る程、
何故?彼は、少女を助けなかったのか?
て云う、非難の声が大きく成って
評論家連中からも『写真は最高だが
人としては最低だ!』なんてバッシングをうけてね
でも!現場に居た他のカメラマン
の証言では、本当は写真を撮った後
彼は急いで少女を助けたんだ
でも結局・・・
非難のプレッシャーに、耐えられなく成った彼は
自殺してしまうんだ」
「凄く悲しい、お話しね」
「ジャーナリストと云うのはね
強い覚悟と使命感を持たなければいけない
今、目の前で起きてる悲劇をキッチリ!
世界に向けて伝え切るて云う強い
信念と使命感を、胸に秘めてね
例え、その伝えた真実が元で、
自分が非難や糾弾される事が有ったとしても
断固なる覚悟が在れば、
必ずやり通せるモノなんだ
放課後の校舎の屋上で
沈む夕日を視ながら
渡部君は、いつか言っていたものだよ
『俺は自由だ・・・でも孤独だ
何かを得るには何かを捨てなきゃならね~
俺には生まれ持ってのジャーナリスト気質がある
だからあえて今は…孤独を選ぶんだ
この道を極める為に』
僕は渡部君の言葉を聞いて
猛烈に感動したよ
普段はオチャラケてて、クラスのみんなに
見て来た事や聞いて来た事を
面白可笑しく着色して話してくれて
あの、いつも不真面目で頭をパツキンに染めてる
一見チャラ男にしか見えない
あの渡部君がだよ」ワナワナ
「渡部君は本物のジャーナリスト・バカね」
「そうさテレビ局なんかに勤めてる
サラリーマン・ジャーナリストもどきの、
ニュース・ペーパー・ペラペラ野郎より
よっぽど!渡部君の方が、
ジャーナリスト魂を持ってる
ジャーナリスト・大バカ野郎なんだよ
あの日の渡部君の行動は、後日に成って、
合点がいったけど僕には解ったんだ」
「どう云う行動をしてたの?」
「え~とね・・・朝の1時間目の
数学の時間は確かに居たんだよ
武田先生に『バカチンが~黒板の問題、
解けっ』て、渡部君が指されて
『ちょ~やべ~よ先生の字、
読めね~よ』て、言ってたから
けど2時間目が始まったら
すでに居なく成ってて
それから昼の給食の時間は
走って戻って来て肩で息を切らせながらも
パンとホワイトシチューを
ガツガツ豚みたいに食ってブ-
デザートのマンゴゼリーをパックの
まんま引っ掴むと、又どこかに
脱兎の如く走って居なく成って
その日、最後の授業が自習に成って」
「国広先生、居ないものねニコ」
「そうだよニヤ
僕が、ボ~ッとして教室からグラウンドを
眺めてたらなぜか僕のクラスの
渡部君が体操服に着替えてて
体育の室伏先生の背中を押してワッショイ
どこかに連れて行こうとしてたんだ
あれは!渡部君に間違いないよ
赤白の体育帽子から、はみ出してる
パツキンの子なんて、この学校では
渡部君しか居ないからね」
「ま―ァ!じゃあ、最後に国広先生の命を助けたのは
渡部君なのねニコ」
「そうだよニコ
本人はあえてそんな事、言はないけどね
人間の暖かみを持った本物の
ジャーナリスト気質だよ
渡部君は」
「光君と渡部君とは仲が良いのね」
「そうだよニコ・・・そうだ
今度は君の話しを聞きたいんだけと…いいかな」
「いいわよニコ」
つづく