『母は娘の食事が終わるのを待ってから

優しく語りかけた』


天「竹子ちゃん実はね


ママは自分の"故郷"に帰ることに成ったの」


竹「こきょう?」


天「ママの生まれたところ

だから…だから…竹子ちゃんとは

お…お別れしなくちゃいけないの」


竹「おっかぁ居なくなるだか?」


天「ごめんね…

いきなりこんな話して、本当にごめんね」(涙)


『ごめんね、の言葉と涙が止まらない』


竹「おらは、おっかぁと行けね~だか?」


天「ごめんね…ママは1人で帰らなけばいけないの

竹子ちゃんには頼り無いけどパパが付いてる

ママは故郷に帰っても誰も居ない、1人ぼっちよ」


竹「おっかぁには、おっとぅもおっかぁも居ないだか?」


天「こんな事、話しても竹子ちゃんには分からないかもしれないけど

実は私は、ある研究所で最高の美男美女の遺伝しを組合わせて

それをより完璧に組み直して、卵の様な物からから生まれたの

だから育ての親は居るけど、私が喜び隊という学校に入学した時に

自動的に、親子の縁は切らされてしまったのよ

私は愛情に乏しい人だった、本当の愛を教えてくれたのは

竹子ちゃん、あなたよ!!ドキドキ

そして肉親とよべるのも、広い宇宙で竹子ちゃんだけよ!!


竹「…それでも行ってしまうだか?」


天「それでも行かなきゃならないの


私達家族の幸せには、どうしても必要なことなの」


竹「そうだか…」


天「絶対にパパと竹子ちゃんの所に帰って来るから

それまでパパと、良い子でお留守番してて

パパは本当にダメな人だけと…竹子ちゃんと一緒なら

親らしく必ず竹子ちゃんの面倒を見てくれるはずだから

ママが帰ってくるで、ダメなパパを守ってあげて」


竹「…」


天「竹子ちゃん…」


竹「…」


天「…」


竹「分かっただ、おっとぅと留守番してるだ」


天「竹子ちゃん…ありがう」グォ~(ToT)


竹「おっかあ…グス」


>ムギュ

『母は娘をきつく抱きしめた』


竹「おっかぁ!おら寂しいだ」


天「ママも寂しい(涙)

こうして抱きしめる竹子ちゃんの体温…決して忘れない

竹子ちゃん…竹子ちゃん

私の大切な、娘

私の全て

私の命

絶対!絶対!絶対に帰って来るからね」


竹「おっかぁ…」


『夕闇が迫ったころ、ずいぶん前から突き止めていた

隠し場所である床下からコスモスーツ羽衣を引っ張り出し

家の片付けと身仕度を整えてから、娘の手を引いて、ボロ家の庭先に出た

戸口に置いていた、獲物の黒豹は、何者かが知らぬ間に持ち去っていた

外は満月の光を受けて、薄ぼんやりとした静かな田園風景が広がっている』


天「竹子ちゃん、ママとかくれぼしよっか?」


竹「うんだ(笑)

どっちが隠れるだ?」


『娘は無邪気に微笑む』


天「ママよ」


竹「おっかぁが隠れるだか?」


『母は間を置いて娘に微笑み返し』


天「そう…ちょっと長い隠れんぼ」


『娘は不安げに母に聞いた』


竹「なげ~のか…どこに隠れるだ?」


天「かくれんぼは鬼に隠れ先を教えちゃダメだけど

竹子ちゃんは鬼じゃないから」(笑)


『母は夜空を指差し』


天「夜空に輝くお月様」


竹「お月様に?」


天「少しの間、隠れるね」


竹「お月様がおっかぁの"こきょう"か?」


『母はどこか悲しげな笑顔になる』


天「そうよ…」


竹「お月様は遠いだか?

おらでも行けねぇだか?」


天「行けないよ…グス

でも

遠いけど、いつも竹子ちゃんやパパのことは見てられる」


竹「おらもお月様は、良く見えるだ」ニコ


天「そうだね…お月様をママだと思って

待っててね」(涙)


竹「待ってるだビックリマーク


天「竹子ちゃん…

じゃあ、お目々をお手々でふさいで、一から十まで

ゆ~~っくり数えてくれる?」


竹「うんだ」


『月明かりの下、母と娘は互いをまじまじと眼に焼き付ける様に見つめ合った

静寂の中に時間はとまり、又ゆっくり動きだす

やがて母は、娘の肩に手をかけゆっくりと小さな体を回して背中を向かせ

娘はその場にしゃがんで、両手で顔をおおった』


天「数えていいよ…」グス


『娘は普通のかくれんぼでは無いことを知りつつも

可愛らしい声で、ゆっくり数え始めた』


竹「ひと───つ…

ふた───つ…

おっかあ、居るだか?」


天「居るよ、竹子ちゃん」


竹「み────つ…

よ──つ…

まだ居るだか?」


天「まだ居るよ…」


竹「いつ────つ…

む──つ…

おっかぁ!?」


天「竹子ちゃん!…」グス


竹「なな─────つ…

やっ───つ…

もう居ないだか?」


天「…ごめんね竹子ちゃん…」


竹「ここの─────つ…



おっかぁ!!」(涙)


『思わず娘は目を開けて振り向く

さっきまで居たはずの場所には、母は居なかった』


「…竹子…竹子…」


(声がした!)


『声がした方を見ると、そこにはまん丸お月様が

娘に笑いかける様に優しく輝いているニコニコ

娘は有らん限りの力で叫んだ』


「おっかぁ─────!!