控え室は、およそ高木に対して逆風が吹き始めていた

「監督とヤッたなんて嘘つくなビックリマークむかっ

「うんこ女ビックリマークうんこ女ビックリマーク」(笑)

そこは譲れないのか!?「本当だもんビックリマーク

監督とヤッたもん」しょぼん涙目で反論する、高木

「お前いい加減にしろよビックリマークむかっ

「監督となんて吊り合わね~よビックリマーク高木むかっ

「うんこ女ビックリマーク」(笑)

「本当の本当~にビックリマークヤリ捲ったもんビックリマーク信じてよ皆あせるしょぼん

泣きながら訴える、高木

「信じられるか!?むかっ

「そうだよお前の話し自体、信じられね~よビックリマークむかっ

「うんこ女ビックリマーク」(笑)

高木「ヤッたんだってば~ビックリマークしょぼん

「嘘だビックリマーク嘘だビックリマークむかっ

「もーうんざりだ!!辞めてくれ!!!!パー

「うんこ…汗

叫び声が控え室にこだました

ビックリして声のした方を皆が見て視ると

そこには拳を震わせながら握りしめ

顔を赤くした涙目の岩田が立っていた

そんな岩田を見て高木は「はっビックリマーク」と成った

高木は思い出した・・・・・・

まだ新入生が入学する少し前

夜のアルバイトを初めたばかりの頃

放課後直ぐに高木は岩田に、体育館の裏に呼び出されたのだ

高木が行くと、そこには両手をポケットに入れて

少し格好をつけた岩田が1人立っていた

いつもの岩田とは少し雰囲気が違うのは、高木にも直ぐに分かった

「と~したんですかビックリマークせ・ん・ぱ・いドキドキ

高木は意識して明るく声をかけた

「実は今日はマネージャーとしてではなく

1人の女の子として話しを聞いてほしい」

「は汗はい」

いつにもまして真面目な岩田の物言いと

真剣な表情に、高木は緊張した

「俺は不器用だから、こんな言い方しか出来ない」

「はい」

2人の間で緊張感が高まる

「俺と…俺と…俺と…俺と…俺と」

「はい?」(笑)

なかなか言い出せない、岩田

しかし、より真剣な表情になり

「つき合ってくれビックリマーク高木」ドキドキ

したを向き固まる、高木

今日ここに来た時、岩田に告白されそうな予感はあった

しかし普段の部活を共に過ごす岩田からは

そんな素振りは、みじんも感じ取れなかった

いやむしろ、岩田は発していたのかも知れない?

感じ取れないほどに、岩田は皆に優しかった

キャプテンと2人だけの上級生であるにもかかわらず

決して気取ったり上級生ヅラして偉そうにする訳でもなく

わけへだて無く誰にでも、気さくな態度をとり

キャプテン以上に皆に気を配っていた

真面目で爽やかな好青年を絵に書いたような性格キラキラ

だからこそ皆に信頼され慕われる

容姿にしても、決して二枚目とは言い切れないが

その性格からにじみ出る印象は、優しくてりりしい男前だ

かねがね自分はけっこうイケてる方なのにキラキラ

不思議な事に、今まで一度も告白された経験が無い事を

コンプレックスに感じていた高木は、岩田先輩の告白を正直、嬉しいと思った

そして皆が慕う岩田先輩で在れば、自分ともギリで吊り合がとれるとも思った

しかししかし、自分は絶対的存在として監督のことが好きなのだドキドキ

小悪魔ラブラブが二股を掛ける様なまねは出来ない

相手が久保ていどなら遊んで捨てる事も出来事だろう

しかし、相手が優しい岩田先輩だからこそビックリマーク

そんないい加減なまねは出来無いと思った

そして高校生でありながら、夜のアルバイトをする自分に

ほんのちょっぴりだけ、引け目を感じてしまった

自分の中でさまざまな思いがさくそうして

結果、高木は固まってしまった…

真剣な眼差しで高木の返事を待つ、岩田

時は永遠に感じた・・・・・・

岩田次郎と云う青年は、少年時代、家庭の事情で両親に代わり

優しい祖父と祖母に育てられた

預けられた先は、山陽の田舎だが主要道路が通っているので、交通量は激しいかった車DASH!

男2人、末に女の兄妹の真ん中で、本来なら自由ほんぽうな次男だが

年老いた祖父母を良く助け、兄妹仲良く、特に妹の面倒は良くみた

池で魚を捕まえたり、山でカブト虫を捕ったり

都会の子供が田舎に来てやるような遊を、一年中やっていた

岩田が小学校に入学したての夏の暑い日晴れ

歳の近い兄と2人で、小学校のグラウンドで行われている

スポーツ少年団のサッカーの練習に来ていた

子供達は皆、上下白、半袖半ズボンの学校の体操服を着て

元気にボールサッカーを追っかけて走り回っている

そんな中「こら次郎ビックリマーク

「あビックリマーク兄ちゃん」(笑)

「あビックリマーク兄ちゃんじゃぁ無いわぃパー

皆が練習しとるグラウンドで、何を

ピョコタンビックリマークピョコタンビックリマークどび跳ねて

遊んじゅう!?練習の邪魔じゃぁビックリマーク

遊ぶんなら帰れ!!むかっ

ワシが監督に怒られるんど!!むかっ

あ~ぁ、連れて来るんじゃなかったダウン

「な~兄ちゃんビックリマークカエルがな~…」

「カエルが何じゃい!?むかっ

「おるんよ~…」

兄が目をこらすと、たしかに小さなカエルが

ピョコタンビックリマークピョコタンビックリマークと飛び跳ねていた

弟はカエルの動きを追っ手、カエル跳びで追いかけて居たのだ

「ここに居ったら皆に踏み潰される

アッコの川に逃がしてやろ~思うて…」

グラウンドぞいに溝の様な小川が流れている

「でも…捕まらんのよダウン」兄に怒られて岩田少年は涙を流した

「泣くな次郎ビックリマーク汗…ワシも一緒に捕まえちゃろ」

「……」

「早よせい、そっちに回り込めビックリマーク

「うんビックリマーク

少年に元気が戻った

「早よせんと汗暑さでミイラになるで」

「ミイラガエルじゃの、兄ちゃんひらめき電球」(笑)

「それもおもしれ~の」(笑)

兄弟はカエルを捕まえようと、ピョコタンビックリマークピョコタンビックリマークと飛び跳ねる

それを見つけたサッカー指導の大人が

「そこの2人ビックリマーク遊ぶんなら帰れ!!

怒鳴り声がグラウンドにこだまする…



こんな事もあった、岩田が小学高学年の夏

その年は特に暑い日が続いた晴れ

祖母のおつかいで、歳の離れた小さな妹と2人

主要道路を車が猛スピードで、ひっきりなしに行き交う中、歩道を歩いていた

兄はお気に入りの白いTシャツに青い半ズボン

妹は母に送って貰ったばかりのヒマワリがらの可愛いワンピースを着て

兄と手を繋ぎスイングさせながら上機嫌で

妹の大好きなアニメソングを謳いながら歩いていた音符

「あビックリマーク次郎兄ちゃんあれビックリマーク

妹のさち子が何かを発見して指差す

岩田少年が目を向けると、道路の脇に灰色のモノが横たわっている

このまま歩道を歩いていたら、必ず遭遇してしまう汗

一瞬迷ったが、小さな可愛い妹の手をしっかり握りしめ

恐る恐る歩道を歩き進む

その灰色のモノの所に着くと、2人の兄妹は立ち止まってしまった

灰色のモノとは犬だったわんわん

白に所々にブチ模様の雑種、大きさは中型犬といったところだ

世間的にも、可愛いとか愛くるしいとか言われている犬ではない事は確かだ

首輪はしてないし薄汚れて灰色に見える、汚い野良犬

少年は息を飲む汗

道路と歩道の間に納まる様に横たわっている

目は生気を失い、口から舌をだらりと出している

腹からは少し内臓の様なモノも見える

しかし…息をしている

犬の胸は大きく波打っている…苦しそうだ

車は犬を避ける様に、ほんの少し位置をずらして

スピードを落とさずに次々に駆け抜ける

2人が立っていると、何人かの大人達が

汚いモノを視界から避ける様に、足早に通り過ぎて行く

少年の隣に知らない間に、おじさんが立っていた

おじさんは独り言のように

「可哀想~に、ひかれたんじゃの~…

早よ~、楽にしてやればえーのにダウン

役所には連絡いっとるんかのー?」

そう言い残すと、あっけなく立ち去ってしまった

硬く手をつないで犬のそばで立ちつくし

じっと犬を見つめる2人の兄妹


「次郎兄ちゃん、汚い犬じゃねー」

「うん…」

「なんか臭いよ~」

「うん…」

「こんな犬、家じゃ飼えんね」

「うん…」

「痛いんじゃろうか?」

「うん…」

「舌出とるね」

「うん…」

「血出とるね」

「うん…」

「お腹ん中、見えとるよ」

「うん…」

「苦しそうじゃね」

「うん…」

「元気に楽になればえ~ね」

「うん……うん!」

なぜそうしたのか自分でも分からない

少年は妹の手をはなし、お気に入りの白いTシャツを脱いだ

シャツは着ていないので上は裸だ

犬の所に行き内臓の出でいる所に、覆う様にTシャツを丁寧に巻くと

犬を抱えて持ち上げた、何の抵抗も示さない

もう、体力が無いのだ

そのまま歩道を歩き初める

「さっちゃん、兄ちゃんと手をつながんでも

1人で、付いてこれるよな?」

「うんビックリマーク

ピョンピョン飛び跳ねる様に付いて来る、妹

行き違う人は一応に、ビックリした表情をしてすれ違う

上半身、裸でぐったりした汚い犬を両手で抱き抱え

小さな女の子を連れた、少年の姿は

一種異様な雰囲気を視る者に与えた

うだる様な暑さのなか、延々と歩き続ける、兄と妹

兄は凄い汗をかいている、それでも犬はなさない

裸の少年を見つけた車のドライバーは少しスピードをゆるめて

何を抱えてるのか確認する様に通り過ぎて行く

何か、不思議なものでも視る様な表情で…

少し疲れた妹が「どこに連れていくん?」

兄がほんの少し間をおいて、寂しい声で

「……

兄ちゃんが…楽にしてやる」

「ふ~ん…凄いねビックリマーク次郎兄ちゃんビックリマーク」ニコ

真昼の炎天下、道路では車が排気ガスを撒き散らし

熱いアスファルトの上では、陽炎が立ち登っていた

どれくらいの距離を歩いたのか分からない

100Mだろうか?1Kmだろうか?

どれくらいの時を歩いたかも分からない

10分だろうか?1時間だろうか?

腕に感覚が、無くなって来ていた

暑い、しんどい、も~辞めようか
そう思い始めていたが、そんなとき

気がつくと少年の腕の中で、犬は波打つ様な

鼓動を止め…静かに…優しく…死んでいた

そうして少年は、静かに立ち止まった…

妹が心配そうに「どしたん?…」と兄の顔をのぞき込

しばらくの沈黙の後…

兄は妹に微笑えんで「…行こう」

又、歩き初めた

妹は、兄を察した様に静かに付いて行く

苦しくない

悔しくない

悲しくない

微笑むことだって出来る

でも涙だけは流れてしまう

そんな不思議な顔で、歩いていた

説明出来ない不思議な感状も沸き上がる

黙々と黙々と歩いて行く

やがて大きな川にたどり着き、横風も涼しい

道路の縁から下の河川敷に、犬を抱えた少年と小さな少女は

足を滑らさない様にゆっくり下りていく

ギラギラ光る川のせせらぎ、とても美しい

河辺りの柔らかい所を探して2人で手や棒っ切れで穴を堀り

犬を白いTシャツでくるみ直して埋めた

兄妹は終始無言だった、埋め終わると

妹が寂しげに「汚い犬、しんじゃったね」

「うん…」

「犬にも天国あるんじゃろうか?」

「うん…」

「汚いけん、ほかの犬にいじめられんかね?」

「うん…いや!いじめられんよ

天国では、きれいになっとる」

「そうじゃね、車もおらんよね」ニコ

「うん…そうじゃ」ニコ

「それじゃたら道路の上でも走り回れるね」ニコ

「それは無理じゃ」

「なんでぇ?」

「車も無いけん、道路も無いよ」

「犬の天国では道路は要らんのじゃね」ニコ

「うん!」

「次郎兄ちゃん、上、裸ん坊それに臭いよ」(笑)

「恥ずかしいけん、走って家に帰ろうかね?」

少年は大きく伸びし、走る素振りをする

「さっちゃん付いてこれんかったら置いてくで」(笑)

「もーむかっいじわる言わんといてビックリマーク

妹は兄を追っかける

兄妹はキャッキャッと鬼ごっこを始めた

青空に2人の子供の声がこだまする



つづく