HDQ / YOU SUCK ! + BELIEVE | Hard “metal” Core Side

Hard “metal” Core Side

福岡県在住の美容師が好き勝手に執筆する
80年代を中心とするハードコアパンクや主にマイナーなスラッシュメタルや
90年代以降でも80年代の要素を取り入れている音源のレビュー形式日記です。

UKメロディックパンク/ハードコアHDQです。



その前にあくまでも筆者的な視点ですがメロディックパンク/ハードコアは恐らく生粋なハードコアパンクマニアックスな方からは余り歓迎されることなく、メタルやダイハードスラッシャーな方にはあまり興味を示さないであろうそんな音楽ジャンルだと判断しています。


現在はそうではないのでしょうがあくまでも私見ですので悪しからず。


80年代UKハードコアパンクのイメージといえばDISCHARGE 、GBH 、THE  EXPLOITEDのようなメタルとパンクを融合したようなスタイルのバンドもいればCHAOS UK、DISORDER 、CHAOTIC  DISCHORD 等のノイズを強調したスタイルねバンドが存在していましながどちらも共通しているのが「速い、うるさい、汚い」がそれまでのハードコアパンクにおける“UKスタイル”なのではないかと思いますが80年代中期頃からUSスタイルの音楽的要素やファッションを取り入れたバンドが出はじめ、
もっと細かくいうとSTUPITS、HERESY、RIPCORD、INTENSE DEGREE等のバンドがUKハードコアパンクバンドが“UKハードコア第2世代”として出現しますがこれらのバンドの場合は基本的に自国ハードコアの伝統を受け継ぎつつもUSハードコアでも7SECODS、SNFU、AGNOSTIC  FRONT、BAD BRAIN、 SUICIDAL TENDENCIES(いづれも初期)の音楽的要素を取り入れ更に格段にスピードアップさせたスタイルを産み出していき、後にファストコアやパワーバイオレンス等のハードコアパンクのサブジャンルの形成に繋がっていったのも特徴だと思います。

ファッションもそれまでのスパイキーヘアにトロージャン(モホーク)ヘアに鋲ジャン、弾丸ベルト、ドクターマーチンといったモノからパーカーに七分丈パンツ、コンバースやバンズのスニーカー等のカジュアルファッションにベニス地方を中心としたスケーターカルチャーも取り入れていったのも特徴。

そんなUKハードコアパンクシーンとはまた別の動きが出てきていまして同時期にいくつかのハードコアスタイルが産み出されていたのも事実でその中の一つがUKメロディックパンク/ハードコアなんだと思うのですが、80年代からパンク/ハードコアを聴いている方々でこの音楽ジャンルに理解を示めす人の中ではルーツを遡っていくと大体は過去のブログでも紹介したUS ミネソタ州ミネアポリス出身の「HUSKER DU」に辿り着くと思うのですがそこから更に発展させていったのがUS ワシントンDCのDAG  NASTYでしょう。

筆者は一部の80年代に活動していたUSメロディックパンク/ハードコアと私は基本的に性格が根暗なんでしょうイギリスの元々の気候である一年の大半は曇り空という雰囲気の中で産まれたUKメロディックパンク/ハードコアが好きなのです。

そしてここで今回紹介するHDQ(HUNG  DRAWN  QUARTERED )の87年MEANTIME recordsから発表された2nd アルバム「YOU  SUCK !」と88年LOONY  TUNES recordsから発表された EP 「BELIEVE」です。
ちなみにバンド名の意味は調べれば「首吊り、内臓抉り、四つ裂き」らしいですが
バンド名からして80年代のパンクらしさ全開ですね。
 



まずは87年作「YOU  SUCK!」ですが前作85年セルフタイトルの1stアルバムは曲調自体オーソドックスなハードコアパンクでありながらも、すでにDAG NASTYのようなDC系を意識していたのかと思わせるギターの音色はそれっぽい感じになっていましてギタリストでこのバンドの中心人物DICKIE  HAMMOND氏の音楽的イメージはDC系のそれは既にあったと思うのですがまだまだ曲調まではそこまでの域には達していない感はあるものの充分カッコいい音でした。



それから2年後のこちらの作品ともなるとDAG NASTYへのオマージュがかなりいい形で表現されておりハードコアパンクとしてのスピード感や荒い感触はかなりの割合でキープをしていながらもエモーショナルなギターのメロディーを前作よりも更に進化をさせて導入することに成功しているといえます。
あまりメロディックなリフを導入してしまうとハードコアパンクの雰囲気やいい意味での荒々しさが無くなってしまいがちで特に90年代以降に量産されまくった“メロコア”バンドが多く出現しあの方達はパンクなんだろうけど、ハードコアパンクではないなというのが筆者の感想なんですが、このHDQの作品は普段メロディック系を敬遠してきていた硬派なパンクスの方々やパンクにはあまり興味の無いスラッシャーの方々にも聴いて貰いたいですし、何かしらの発見もあるかと思います。 


こちらは88年のEP「BELIEVE」。

ジャケデザインがギーガー風で初見でのジャケ買いはあまり見込めない感じですが、実際の中身の音がこれが前作「YOU SACK!」LP よりも更にメロディックさに研きがかかりこれがまたカッコいいです!
前作よりかはスピードが押さえ目ではあるとはいえ、逆にドライブ感と印象的なエモーショナルギターのメロディックなリフは聴いてて感動的ですらありますし、筆者的にはこの時点でDAG NASTYを超えた感すらあります。



ただ先程述べたようにメロディックさが更に強調されたせいでハードコアパンクとしての持ち味が若干弱まった感じはしますが、ハードコアパンク作品としてはまだ許容範囲ではあるかと思いますし、裏ジャケのメンバー写真が革ジャン、Drマーチン、スパイキーヘアのUKパンクファッションのメンバーとキャップ、スウェットパーカー、スニーカーのUSパンクファッションのメンバーが混在しているのがこの作品の雰囲気を表しているのではないかと思います。



先の「YOU SACK!」とこちらのEPは何度かカップリングでCD化もされているし、音源自体は入手しやすいので興味のある方は是非どうぞ。

UKメロディックパンク/ハードコアはカッコいいのです。