この作品をご存知だろうか?

ARIEL(エリアル)





銀河帝国から惑星侵略業務を請け負う倒産寸前の三流侵略会社ゲドー社の、アバルト・ハウザー艦長率いる戦艦オルクスが地球に飛来、侵略を開始する。

一方、宇宙人からの侵略の宣言を受け、地球では日本の国立科学研究所SCEBAI(スケベイ science、chemical、electronics、biochemical、and aerospaceIndastry)の所長、岸田博士は全領域要撃支援女性型(オールラウンドインターセプトエスコートレディ)兵器エリアルを開発、そのパイロットとして姪の美亜と孫の絢、和美の3人を指名、侵略宇宙人の迎撃にあたらせる。



先進的な科学力を有する宇宙人と未開な辺境地球人、圧倒的な戦力差を持つ両者の戦いは即座に決着が付いて然るべき。

だが、倒産寸前のゲドー社は銀河帝国からの報奨金が侵略期間が長期化すればする程受け取れる為に、ワザと手心を加え膠着状態を維持、対するエリアルパイロットも、一人は報酬目当て、一人は受験で地球の平和より単語帳、残る一人は物見遊山と、どちらも真面目に侵略、防衛しないと云う、いーかげんなお役所仕事的敵対関係がはじまった。



そして、このいーかげんな作品の作者こそ、笹本祐一。

そう、モーレツ宇宙海賊の原作、ミニスカ宇宙海賊の作者である。



笹本祐一は恐らくはラノベ作家で宇宙に一番詳しい作家だろう。いや、日本人の中でもかなり上位の宇宙マニアである事は間違いない。なにせ、種子島にロケットの打ち上げを見るために幾度となく足を運び、アメリカのシャトル打ち上げも見に行く。民間人で多分一番打ち上げ見てんじゃないかな?

高じて民間ロケットの開発にまで手を染める始末(笑)



さて、笹本作品の魅力は設定の妙にある。

エリアルの侵略請負会社と報奨金(まあ、補助金だよね)とか、ミニスカ宇宙海賊の合法的な海賊の私掠船免状とか、舞台や世界観の巧さは当に匠。骨太SFが多く、昨今流行りのラノベと同じカテゴリーで語るのは自分としては些か抵抗がある。


ただ、宇宙と云う物理学に徹底的に支配された環境を舞台とするせいか、破綻も少なく、話の盛り上がりにやや欠ける気がしてしまうのが欠点だろうか?

慣性制御やら重力制御の様なSF的裏技も存在はするのだが、戦闘描写に於いても派手な印象は無く、ミニスカのアニメ表題が何故モーレツになってしまったのかは、知る人総てが首を捻る所でもある(笑)