新型コロナウイルス感染症、昨年5月に「5類移行」して、情報がほとんど表に出なくなりましたが、実は(ご存知の方がおられるかも知れませんが)、感染症の数値は公表されております。職業柄、今でもこの数値を追跡しているので、現在の状況についてリポートします。

※データは福岡県が公表しているものです。

 

1.インフルエンザ(1医療機関で定点把握された感染者数)

                 オレンジ色の棒グラフは、2009年のパンデミック時

                 ブルーの棒グラフは、2010~2019年の平均値=例年の状況

                 黒の折れ線グラフは2023年7月から2024年6月の推移です。

 

インフルエンザウイルスの感染には季節性が認められるため、今期は17週ぐらいで収束したと考えられます。留意すべきは次の開始時期で、ブルーの折れ線グラフに沿う形になれば問題ありません。

 

インフルエンザには確立した治療薬がありますので、適切な診療を受ければ殆ど心配ありません。

 

2.新型コロナウイルス感染症折れ線グラフ:赤(1医療機関で定点把握された感染者数)

※新型コロナウイルス感染症(赤線)は、5類に移行した2023年19週からデータを共有しています

 

このデータでは、当然ながら、発症後、拠点病院にかかった人数しか知ることができません。状況としては徐々に増加しており、まだ季節性が確認できません。

 

下グラフは、県内(地域別)の状況です。

※ この数値は、主要病院の数や規模の影響があるのではないかと考えています。

 

ここで、別のデータ(NHKのサイト)を示します。

 

福岡県の「1医療機関で定点把握された感染者数」は4.73人で、北海道の4.95人とほぼ同等なので、参考として「下水サーベイランス」(札幌市)を示します。

 

「下水サーベイランス」とは…

  • 新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスの感染者は症状の有無にかかわらず、糞便や唾液中にウイルスRNAを排出することが知られております。
  • 下水中のウイルスを検査・監視する下水サーベイランス(下水疫学調査)は、受診行動や検査数等の影響を受けることなく、無症状感染者を含めた感染状況を反映する客観的指標としての活用が期待されています。
  • 本市では、定点把握による患者報告数の増減傾向を補完する指標として、下水サーベイランスを継続的に実施しております。
 ☞ つまり、未発症の感染者数を推測できます
これを見ると、現在の感染者数は8,000人を超えています。現在の新型コロナウイルスは感染力が強い反面、症状が軽いため、重篤化や後遺症の心配は、以前ほどではないようです。しかし、既往症がある人や抵抗力が落ちた人、ワクチン未接種の高齢者では注意が必要なため、福岡県医師会は「生活様式が戻っても基本的な感染対策は引き続き行う必要がある」と呼びかけています(2024.05.15/NHK)
 
6月に入り、WHO年次総会で「パンデミック条約」に関する協議を進めています。「パンデミック条約」は、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大した際、先進国と途上国の間で対策に格差が生じた教訓を踏まえ、途上国への支援策などを盛り込んだ国際条約で、今回の総会での採択を目指して事前の調整が行われたものの、ワクチンの分配などをめぐって折り合えずにいます。(2024年6月2日/NHK)
 
3.この他の感染症の状況(参考)
 
福岡県 手足口病など2つの感染症で警報継続
(6月27日 21時04分/NHK)
  福岡県では▼子どもを中心に発症する「手足口病」と▼「溶連菌感染症」の一種の
2つの感染症で引き続き警報が出ています。
  県は手洗いやうがいなど感染対策を行うよう呼びかけています。
  福岡県が毎週発表している「感染症週報」によりますと、県内では6月17日から
23日までに子どもを中心に発症する「手足口病」の感染者が1医療機関あたりの平均で
8.67人と
前の週の1.36倍に増え、10週連続で増加しています。
  県は引き続き警報を出して警戒を呼びかけています。
  一方、主に子どもが感染し、発熱やのどの痛みなどの症状が出る「溶連菌感染症」の一種、
「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」の感染者は1医療機関あたりの平均が8.01人で
前の週の1.05倍とほぼ横ばいで、23週連続で警報が発表されています。
  どちらの感染症も主に飛まつなどで感染するため、県は手洗いやうがいの徹底、
それにタオルの共有を避けるなどの感染対策を行うよう呼びかけています。
 

劇症型溶血性レンサ球菌感染症

 ☞ 感染状況MAP