両国は、作為的かつ頻繁に、日本の領空・領海侵犯を繰り返しているのだが、中国政府は、これまで同様の手口で東南アジア諸国の領海や排他的経済水域を軍事支配下に収めており、我が国に対しても同様の手法を模索している事は周知の事実である。
私は度々ここに関連記事を紹介してきたが、今回のベトナムに対する中国政府の動きは、
軍事力を介入させてでも領土・領海を広げようとする「侵略」の意図を端的に示すものであると考える。
現在、我が国の政府は、戦争行為を禁じた日本国憲法を改正し、大手を振って他国間の戦争への介入を推し進めようとしている。これは、過去の戦争から学んだものをかなぐり捨てる愚行と言わざるを得ない。しかしながら、専守防衛に関して言えば、これまで何ら手付かずの状態であったとも言わざるを得ないのではないか。
他国による侵略に対しては、毅然とした対応を求めるものであり、こと国防に限定するならば、相手の出方によっては「軍事力」の発動もやむを得ないと考える。現在の我が国の「防衛力」は、国際的に評価すれば、「防衛軍」に他ならないのであって、その内容である「装備」では、「軍備」と全く同じものを保有しているのだ。
比警察、中国漁船拿捕=「挑発行為」と反発
ロイター通信などによると、拿捕したのは6日朝で、中国が領有権を主張するハーフムーン礁(中国名・半月礁)近く。中国漁船には11人の乗組員がおり、船内から約500匹のウミガメが見つかった。
中国外務省の華春瑩・副報道局長は7日の記者会見で「中国は半月礁を含む南沙諸島と付近海域に争うことのない主権を有する。フィリピンにはいかなる挑発行為も行わないよう改めて警告する」と強く反発した。
一方、フィリピン外務省は、警察の行動は法に基づき、国の主権上の権利を守るために行われたとし、「関係当局は人道的かつ迅速に事件に対処する」との声明を出した。(2014/05/07-20:52)
<海洋領有権を野心的に広げる中国の弱み>
領有権紛争に国際調停を受け入れない中国
Japan In-Depth 5月5日(月)0時52分配信
海洋領有権を野心的に広げる中国の弱みとはなにか。
その答えがアメリカのオバマ大統領のフィリピン訪問によって、期せずして示された。4月24日からの同大統領のアジア諸国歴訪ではフィリピンとの安全保障協力の強化も大きく目立った。フィリピンはアメリカの同盟国とはいえ、1990年代に駐留米軍の撤退を求めて以来、相互防衛のきずなは弱くなっていた。
ところが今回のオバマ大統領訪問では米軍部隊がまたフィリピンに戻って、流動的に駐留するような新合意が成立したのだ。この動きの背景にあるのは、もちろん中国である。中国は南シナ海で領有権の拡大を図り、フィリピン、ベトナム、マレーシアなどの各国と対立している。なかでもフィリピンへの脅しはものすごかった。だからこそフィリピンはアメリカに助けを求めたのだ。だがこれまでのフィリピンの動きをみると、中国が領有権紛争で最も嫌がること、最も弱い部分が浮かびあがる。それは紛争の国際調停なのだ。
中国は南シナ海の全体に近い広大な海域の領有権主張を打ち出し、フィリピンとは中沙諸島のスカボロー礁をめぐって対立するようになった。同礁はフィリピンの主島ルソンから230キロ、中国本土からは880キロの海域にあり、近年はフィリピンが実効支配してきた。海底の山が水面に露出した岩礁で、中国側は黄岩島と呼ぶ。中国は2012年春ごろからこの海域に軍事力を使って進出し、スカボロー礁を軍事制圧してしまった。
フィリピン政府は外交手段を尽くして、中国に善処をアピールした。だがその効なく、2013年1月にはこの案件を国際海洋法裁判所に提訴したのだった。この提訴がトラの尾を踏む効果を生んだ。中国はありとあらゆる手段でフィリピンを威嚇し、その提訴の撤回を求めるようになった。単に軍事面だけでなく、外交面では習近平国家主席はフィリピンのアキノ大統領とはその提訴の撤回がなければ、首脳会談には絶対に応じないと断言した。経済面でもフィリピン産のフルーツの中国への輸入で税関手続きを意図的にスローダウンし、輸入量を減らす一方、中国人観光客のフィリピン訪問を大幅に制限した。その背景には中国政府が領有権紛争に対してはあくまで二国間の対処を求め、多国間や国際調停を極端に嫌う姿勢がある。国内法の規定でも領有権紛争では国際調停を求めず、国際裁定も受け入れず、という方針を確認している。だからフィリピンの国際提訴には常軌を逸したように、怒り狂ったのだった。ということは逆にみれば、中国とっては国際調停は最も避けたい弱体部分ともいえるのである。古森義久(ジャーナリスト/国際教養大学 客員教授)
中国船舶がベトナム船に衝突=領有権争いの南シナ海
時事通信 5月7日(水)19時36分配信
ベトナム外務省当局者は「複数の中国船舶が航空機の支援も受けながら、ベトナムの巡視艇2隻を威嚇しようと企て、放水を加えてきた」と主張した。ベトナム政府は中国指導部に対して協議を申し入れ、回答を待っている段階だという。
外務省当局者によると3日午前の事件では、中国船がベトナム海上警察の巡視艇の右舷に体当たりし、船の窓が割れた。また、翌4日の同時刻ごろにも別の中国船がベトナムの船に衝突した。
同当局者は証拠として衝突時のビデオ映像も公開。その映像では、ベトナム船の後方に中国の船とみられる船が衝突しているように見える。また、日時は不明だが、同当局者はベトナム船の船員6人が負傷したと説明した。
現場はベトナム沖合の西沙(英語名パラセル)諸島付近とみられる。この付近では中国が5月から掘削活動を開始し、ベトナムが抗議している。
ベトナム当局者は地域の周辺国も懸念しているとし、ベトナムは事態を平和的に解決するため「あらゆる必要手段」を取ると強調した。
これに対して中国外務省の華春瑩・副報道局長は7日の記者会見で、「ベトナムは中国企業の正常な作業を妨害している。国際法に違反する行為であり、中国の主権や管轄権を侵している」と非難し、「妨害行為」を停止するよう求めた。ただ「妨害行為」の詳細については言及を避けた。
中国の膨張主義、覇権主義は、日本の領土である尖閣諸島周辺での日常化した領海侵犯や、スプラトリー諸島(南沙)やパラセル諸島(西沙)でのフィリピン、ベトナムとの領土紛争を見ても明白である。
1991年、スービック海軍基地とクラーク空軍基地が返還され、米軍はフィリピンから撤退した。当時、日本国内ではフィリピンがアメリカに対して基地提供を拒否し、米軍基地を撤去させたというので、反安保勢力などは大いに意気高くしたものである。ただ実態は、基地の使用期限延長について交渉中の1991年6月、ピナトゥボ山が大噴火し、クラーク空軍基地が大量の火山灰などにより使用不能になり、米軍自身が放棄したものだった。スービック海軍基地については、アメリカは使用期限の延長を望んでいたが、フィリピン上院が拒否したため同年11月に返還された。
■米軍がいなくなったとたんにフィリピン領土を強奪
米比相互防衛条約自体は解消されたわけではないが、アメリカが干渉する可能性はないと読んだ中国は、米軍が92年に撤退した後、95年にフィリピンが領有権を主張していた南沙諸島の環礁の1つであるミスチーフ礁に建造物を一方的に構築した。
第2次大戦中に建造された旧式駆逐艦1隻しか保有していないフィリピン海軍は、中国海軍にとって敵ではなかった。フィリピンのマゼタ国防委員長は「フィリピン海軍としては軍事力による防衛は不可能で、戦わずに撤退せざるを得ない」と発言している。アメリカによる抑止の空白を突いた中国は、ミスチーフ礁において施設を拡充して軍隊を駐留させ、占領を続けている。
さらに2012年4月からは、南シナ海・中沙諸島のスカボロー礁の領有権をめぐっても、フィリピンは中国と対決しているが、ここでも中国はその軍事力を背景に駐屯施設の基礎工事を始めていると言われている。
■米比が新軍事協定で中国を牽制
中国はベトナムとの間でも膨張主義的行動を繰り広げている。このような中で先月、国賓として訪日したオバマ米大統領は、4月28日、アジア歴訪の最後の訪問国としてフィリピンを訪れ、アキノ大統領と首脳会談を行い、新軍事協定を締結した。
中国の南シナ海や東シナ海での国際法を無視した膨張主義に対しては、やはり国際法にのっとった解決と言うだけではなく、抑止力が必要ということだ。
■「抑止力」とは何か
ところで抑止力とは何か。かつて、と言ってもほんの数年前、抑止力についてよく知らなかったという首相がいた。米軍普天間基地を「国外に、最低でも県外に」と公約した鳩山由紀夫当時首相だ。
その後、辺野古への移転に賛成するが、その際、「日米同盟や近隣諸国との関係を考え、抑止力の観点から海外は難しいという思いになった」「米海兵隊の存在は、必ずしも抑止力として沖縄に存在する理由にならないと思っていた。学べば学ぶほど抑止力(が必要と)の思いに至った。(認識が)甘かったと言われれば、その通りかもしれない」と語った。
鳩山氏がどこで、何を、どう学んだのかは知らないが、「抑止力」という言葉は実は必ずしも一般的ではない。旧知の松竹伸幸氏の『幻想の抑止力』(かもがわ出版)によると、『広辞苑』にも「抑止」という言葉あるが、「抑止力」というのはないそうだ。調べてみると確かにそうで、同辞典では、「抑止」について「おさえとどめること」というそのままの説明だけである。用途として「核―力」とあるだけだ。
松竹氏は、同書の中で「核抑止力自体、核兵器が誕生した後に使われ出したものだから、抑止力はそれよりも新しい時代に生まれたものである。この言葉が何を意味するのかについて、学問の世界は別にして、誰もが理解できるような定義はいまだ存在しておらず、だからこそ広辞苑でも取り上げられていないのだ」と指摘している。
松竹氏によれば、抑止力とは「軍事力を行使することによって、『抑え、止める』のではない。軍事力を実際には行使することなく、侵略があったら反撃するよ。打撃を加えることになるよという意思、能力を相手国に示すことによって、相手国の侵略を未然に防ごうというのが、抑止力のもともとの考え方」ということだ。
まさしくその通りで「核抑止力」は、いざとなれば核兵器で反撃し、壊滅的な打撃を与えるよという意思を示すことによって、相手国の侵略を思いとどまらせようとするものである。
■抑止力は自衛力より強大
ちなみに日本の自衛隊は、自衛隊法第3条第1項により「我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たる」ものとされている。要するに「自衛のための必要最小限の実力組織」ということであり、抑止力は持たないのが建前となっている。
松竹氏によると『国際政治辞典』(猪口孝也編、弘文堂)では、「抑止作動の条件」という項目で、その第一条件として「いかなる軍事攻撃にも即座に対応し、甚大な被害を攻撃国に与えることでその軍事目標を阻止することが可能な軍事能力を備え(ていること)」が挙げられているそうである。
日米安保条約に基づいて、日本には米軍が駐留している。この米軍の最大の存在意義は、まさに抑止力にある。なかでも決定的な抑止力が、結局は核抑止力ということである。
■海兵隊の存在は明確な抑止力
よくアメリカの海兵隊は日本防衛のためには役に立たないと言われる。確かに米海兵隊はそもそも防衛的な任務は持っていない。主な任務は、海外の紛争地点の基地を奪取するための上陸作戦である。したがって、普天間基地の辺野古移転に反対し在沖縄の海兵隊の撤去を求める勢力が言うように、直接的に日本防衛(沖縄防衛)の任務を持っているわけではない。
だが、在日米軍は海兵隊だけではない。第7艦隊空母機動群など海軍、嘉手納、横田などの空軍、陸軍も駐留している。この全体が抑止力になっている。もし在日米軍が存在せず自衛隊だけであったなら、北朝鮮や中国の蛮行がいま程度に収まっていないことは、客観的に見れば反米軍基地、反安保の立場に立つ人でも認めざるを得ないだろう。
ある国がもし日本を侵略すれば、その国には真っ先に海兵隊が上陸作戦を敢行するだろう。海軍も、空軍も、陸軍も投入される。その可能性があるからこそ日本の侵略を踏みとどまっているのだ。これが抑止力でなくて、なんと言うのだろうか。
先般オバマ大統領が訪日した際、安倍首相との共同会見で尖閣諸島を含む日本国の施政権が及ぶ領土は、日米安保条約第5条の適用範囲であると明確にコミットした。尖閣が武力攻撃を受ければ、日米が共同で反撃するということだ。これまで国務長官、国防長官からは同趣旨の発言があったが、大統領発言だけにその意味は大きい。
反基地論者、反安保論者の多くは、護憲派だ。海兵隊をはじめとする米軍基地はいらないと言う。自衛隊は憲法違反の軍隊だと言う。共産党などは、いずれは自衛隊は解消すると言う。結局、日本は丸腰になるということだ。この立場の人々は、「抑止力」というだけで目くじらを立てる。だが冷静に国際情勢を見てもらいたい。丸腰の日本という立場が、どれほど手前勝手で無責任な立場か分かるはずだ。