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文春オンラインより転載させて頂きました。

SMAPになじみのある鈴木おさむさんの告白です。読み応えあります。

 どうぞ

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SMAPの謝罪会見小説”を鈴木おさむが書くときに覚悟したこと「これが出たら仕事が出来ないかもしれない」



放送作家という職業をやっております、鈴木おさむと申します。1972年生まれの現在51歳。19歳の時から32年間、この仕事をさせていただいてます。代表作を一つ選べと言われたら、フジテレビ「SMAP×SMAP」になるのでしょう。始まるときから終わるまでの20年間ずっと携わらせていただいたので。

 バラエティー以外にも、ドラマや映画、舞台の脚本や演出もやらせていただいています。人気漫画「ONE PIECE」の映画「ONE PIECE FILM Z」という作品の脚本も書かせていただきました。来年、Netflixで配信予定のプロレスラー・ダンプ松本さんの人生をベースにしたドラマ「極悪女王」という作品の企画・脚本・プロデュースもさせていただいてます。これまでも色んな作品をやらせていただいてる幸せ者なのですが……。

「本日、この場で初めてこのことを宣言いたします」

 そんな僕ですが、ここで初めて書きますが、僕、放送作家・鈴木おさむは、2024年3月31日をもちまして、32年間やってきた放送作家を辞めることにしました。

放送作家業だけでなく脚本業も辞めます。つまりは、作家っぽく言えば断筆宣言というのでしょうか。本日、この場で初めてこのことを宣言いたします。

 僕は今現在、バラエティー番組の構成を15本近くやっていますが、それを辞めさせていただきます。そして、脚本の方も、今現在、5本以上のドラマや映画の脚本を書いているのですが、3月31日までに全てを書き切り、辞めさせていただきます。

 僕が辞めると言うと、「去年、書いたあの小説のせいで辞めるのか?」と想像&考察する方もいるかもしれません。

では、なぜ辞めるのか?と言いますと、僕は19歳でこの業界に入り、25歳から、父の仕事で仕方なく出来てしまった借金を馬車馬のように働き、7年間で2億円近く返したり、30歳で妻(森三中 大島美幸)と交際0日で結婚したり。昨今、交際0日婚という言葉もよく聞くようになりましたが、おそらく自分たちがこの先駆けでしょう。婚姻届を出しに行った日が初めて2人きりになった日で、その日の妻の最初の言葉が「なんか2人だと気まずいね」と言って、婚姻届を出し、ガチの0日婚から、結婚生活20年以上経っています。

この5年くらい「おもしろく生きてないな」と思ってしまった

 そして妻が2度の流産を経験し、そのあと妊活に入るも、自分の精子に問題のある「男性不妊」であることがわかったり、ようやく息子の笑福(えふ)を授かり、1年の間、放送作家業を育休したりと、なかなか自分の人生を振り切って生きてきました。その中で沢山の作品を作らせていただきました。

 僕はたまに自分の人生を俯瞰で振り返る癖があります。50歳になる手前くらいから、自分の人生を俯瞰で見たときに、この5年くらいの自分の生き方が「おもしろく生きてないな」と思ってしまったのです。

 お陰様で遣り甲斐のある仕事は沢山いただいているのですが、特にSMAPが解散してからだと思うのですが、前のように仕事で、120%を超えるフルパワーを超えた力が以前のように出にくくなってしまった。スイッチが入りにくくなったんです。

そして新しいことに挑戦するなら、51歳の今しかない。今だったら間に合うと思っています。

 だから、32年やってきた放送作家を辞めることにしたのです。

 来年4月からは何をするのか?というと、若い人たちを応援する仕事に挑戦しようと思っています。

でも、次に何をするかというより、今の仕事を辞めると決めることが大事なんです。辞めると決めないと、新しい地図を描けないと思ったのです。

 僕が辞める上で沢山の方々にご迷惑をおかけしてしまうと思います。本当にお許しください。

SMAPの謝罪会見の話を元にした小説が大反響

 辞める理由を書いてきましたが、それでも、「本当に理由はそれなのか?」と考える方も少なくないと思うのです。僕が所属する事務所や周りのプロダクションからの圧力があったのではないか?と。

 そう考える理由はわかります。昨年末に僕が「文藝春秋 100周年記念号」にSMAPの謝罪会見の話を元にした、小説「20160118」を書いたからです。

 辞めるまでの半年の間、ここで思っていることは全部書くと決めているので、僕が今、所属しているプロダクションとの関係から書かせていただきます。

 僕はこの20年近く、山下達郎さんや竹内まりやさんが所属する「スマイルカンパニー」とマネジメント契約をさせていただいてます。

 スマイルカンパニーと言えば、今年、所属されていた松尾潔さんとのことがネットニュースや雑誌に取り上げられていました。

そもそも僕がスマイルカンパニーに入ったのは、30歳になる前に、SMAPのマネジメントをされていて僕がずっと尊敬している飯島三智さんから「あなたもこれからマネジメントとか必要になるから、入った方がいいよ」と言われて、ご紹介していただいたことがきっかけでした。

今は相談役になられましたが、スマイルカンパニーを立ち上げた社長、小杉理宇造さんには、本当に自由にやらせていただきました。僕がトラブルを抱えた時にも全力で対応していただきましたし、重度の障がいを持つ僕の甥っ子が命に関わる病気になった時に病院も紹介していただき、そのお陰で甥っ子は元気に生きています。本当に感謝しています。

「事務所側からしたら僕のテロみたいに思っても仕方ない」

 そんな感謝している小杉さんに対して、あの小説を書くという、小杉さんの意に背くことをした。小説を見て、小杉さんは本当に驚いたはずです。「文藝春秋」に出るまで僕はうちの事務所には一切言わなかったからです。事務所側からしたら僕のテロみたいに思っても仕方ない。

 2016年に放送された「SMAP×SMAP」での謝罪放送のことをベースに小説として書き上げることはそれほどのことだったのです。

もともとは、「文藝春秋」編集長だった新谷学さんから執筆依頼がありました。SMAPが解散したときのことで何か小説を書けないかと。

 普通なら断ります。ただ、僕も放送作家ですが、「作家」と名の付いた職業をしています。しかも「文藝春秋 100周年記念号」。

 それに、いつかどこかで、あの謝罪放送に関しては、自分の中での決着をつけなきゃいけないと思っていたのです。人を楽しませるものがテレビなのに、あの放送は見た人を不安にさせ、悲しませた。あんなのはバラエティー番組じゃない。

僕があの小説を書くことで彼らのファンの方に一滴の希望を与えることが出来ないかと思ったのです。

 それがあれを執筆した一番の理由です。

 当然、覚悟をもって書きました。これが出たら、僕はもう今の仕事が出来ないかもしれないとも思った。

 小杉さんは、古くからジャニーズ事務所とも付き合いがあったし、僕が何も言わずにこの小説を出したら、悲しむだろう。怒るだろう。「先に言ってほしかった」と言うだろうと。でも、先に言っていたら絶対に書けなかったと思うのです。

「文藝春秋」は発売になり、最初は不安の方が多かったのですが、沢山の方の感想を読み、今は書いてよかったと思っています。

小杉さんから「20年間お疲れさまでした」

 発売から1週間ほどたち、うちのマネージャーから電話が来て、急遽、事務所に行くことになりました。小杉さんが僕と話をしたいと。当然、いつかそうなるだろうと思っていました。

 部屋に入ると、小杉さんは笑顔で僕を出迎えてくれました。

 小杉さんと話を始めると、小杉さんは僕に笑顔で拍手をしながら「20年間お疲れさまでした」と優しく言いました。

優しく言っていましたが「お疲れさまでした」ということは、つまりは、僕は「辞める」ということなんだなと理解しました。そして、近いうちにスマイルカンパニーを辞めるように手配するというようなことも言われました。ずっと言い方は優しく。

 小杉さんと話したあとに、僕はそのことを受け止めました。突然あの小説を出した僕が悪いのは十分わかっていますし、責任も取らなきゃいけない。

 それくらいの意味のあるものだということも理解していました。

ですが、それからちょっと経ったときに、山下達郎さんと会うことになりました。

 正直、怒られるのかなと思って行きましたが、達郎さんは僕が一人の作家として、クリエイターとしてあの小説を書いたことに対して、今、会社を辞めるべきじゃないことを伝えてくれました。

 会社に背くようなことをしているのに、山下達郎さんは僕の作り手としての思いを尊重してくれたんだと思います。感謝しています。

「今までは言うべきではないなと思ったこと」

 ということがあって、僕は結局、スマイルカンパニーを辞めることなく、今に至っています。3月31日で放送作家を辞めるので、そこでスマイルカンパニーさんを本当に「卒業」させていただきます。なので僕が放送作家を辞めるのは、事務所の圧力やプレッシャーではないと熱く伝えさせていただきます。自分の思いで自分の為に放送作家を辞めます。

 さあ、このエッセイは「最後のテレビ論」です。僕はテレビのことや裏側をいろいろ語ることはしてきませんでしたが、あと半年。テレビも本当に大きく変わっていく今。僕が辞めるまでに、自分がテレビに思うこと。経験してきたけど今までは言うべきではないなと思ったこと。

 ここで、書いていきたいと思います。もちろん、エンターテイメントとして、テレビへの愛をこめて。


https://bunshun.jp/articles/-/68184?page=1