だから 言わんこっちゃい。貧弱な肉体では冬の奴が仕掛けた罠を飛び越える事は不可能なんだ。

目覚めと同時に窓の外を確かめる。暗闇だろうと雨か、そうでないかくらいの判断は確認できる。生憎 冷たそうな霧みたいに小粒のそれが街を濡らし続けていた。(山奥に存在する竹林に似合いそうな雨だ。)

感性を震わせる表現は いつもの如く 情熱というスイッチを押してしまった。

薄着のまま クレイジーな男は家を飛び出した。ああ!なんという自殺行為。貧弱な肉体を縦横無尽に操る事も ままならぬくせして 気分だけは野獣的に炎を揺らす。
リズムを崩すワンツーパンチも冷たい雨と戯れる代償として 自然と連打になってしまう。「シュッ!シュッ!ガチガチ…」800メートルのなんと中途半端な距離よ。
結局 寒さを克服出来ずストーブの前でジェリーにいたずらされたトムのように歯をガチガチガチガチと鳴らして自身の無茶を噛み締めた…。

00:05:43

カラスのカアスケに見つからなくて良かった。
00:06:17/800メートル(参考記録)
寝坊助なお天道様を待ちきれず家を飛び出した。さすがに 寒い。カラスのカアスケもまだ闇夜の色と同化して眠っているらしい。静かな朝の始まり。最近の俺はどうにかしている。満たされいる訳でもないくせに、たるんでいる。ハングリー精神が無いに等しい。今回は俺の中の野獣をカムバックさせるというテーマを主題としてスタートを切った。早朝にも関わらず居るんだな、活動している人や犬たちが…

時折 足を停めて(シュッ!シュッ!)と小さく息を吐き ワンツーパンチを繰り出し悦に浸る。
だから スピードも出ないしリズム感も産まれない。でも 今日はこれでいいんだ。世界記録を目指す走りをしたら 間違いなく明日からは嫌気がさして活動休止するだろう。気分的にハイになること。走るのは楽しいと魂に刻みつけること。

ハングリー精神は徐々に思い出せばいい。

とりあえず第一段階は飛び越えた。ただ その為に酒を呑まないので眠る事が出来ずに今に至ってしまった。色々克服しなければならない事がたくさんあるものだ…

焦ったところで仕方ない。息を潜めて朝を待つだけ。それに飽きたら眠ってしまうだろう。

一昨日の明け方未明。夢と現実の狭間で声が聞こえた。女性のか細い声で「627…627……」と確かに聞こえた。
その日ナンバーズ3を買った。あらゆる知人にも購入するように薦めて今日の発表を待った。

携帯サイトで当選番号を確認する。明日の新聞まで待ってられるか!

048が当選番号だと。おかしい話だ。627とは一体、何を意味しているのだろう。俺の誕生日は621だし この刹那な時期にまた一つ なぞが生まれた。

(もしかしたら家族の寝言かも知れないな。)

今さらながら これが真実のような気がしてきた。クレイジー爺さんの狂言に踊らされて もし購入した人がいたら 素直に謝ろう。

カラスのかあすけは 朝一番に俺を笑い飛ばすから闇夜に姿を眩まして準備をしてるはずだ。