仕事を終えて家までのハーフマイルの途中にアルコールを販売しているショップがあり、俺は  車を停めて  流した汗と同じ500ミリリットルの発泡酒を買うために店内へと入る。

秋味という銘柄がある。

陳列されている棚の下に180円と記されてある。帰宅して、車を停めて  おんぼろアパートメントの駐車場で一気に呑み干すイメージを確かめてレジにて精算。

レジにて屈強そうな若者が

(290円になります。)       だと。

財布の中に、310円入っていたので  心の中でホッと胸を撫で下ろす。

(もう、今日はクレームはいいや。)

この店は前回に牛乳を購入した際も、同じように  表記金額と支払い金額が、違ったので、確認をしてもらい、目の前の若者は、その時に  スミマセンと言ってたと記憶している。

最近は、こんな事が増えた。白と黒さえ曖昧になっちまってやがる。
ぐうたらに  なったんだな。間違えを、教えてあげる事にすら  口を開かない。

そんなことを含めて、自己批判でもしながら  チビリチビリ呑もうと決めていた。

五分後、自宅前。

ラジオから聴こえてくる音も、常識と呼ばれている感情も、明日の仕事の内容も、号泣をスタートしている空と景色も、虚ろな今に  全て無くなる。

恐らく、今までにない大記録の誕生を、呑み干した後に実感する事と相成る。

夏を楽しむ代償に、干からびるほどに汗を流して働いて、500ミリリットルの液体は  僅か数秒で、胃袋へと流れていった。

気付けば暦は、晩夏を指していて  強い雨ばかりが続いている日々に参った蝉たちが  不完全燃焼にて短い人生を次々に終えている。

屍から見える夏蜜柑の木の枝には、たくさんの脱け殻たちが冬を呼んでいた。