昼下がりの  夕立でもやって来そうな灰色の空を見上げたり、近所の知人宅の琵琶の色合いを確かめながら、俺は歩く。歩く。歩いている。

(出勤する時間まで、2時間くらいあるな。帰ってひとっ風呂浴びて、少し眠るとするか…。)

そんな他愛もない予定などを計画しながら、いつもは、曲がる角をやり過ごして  少し遠回りの交差点を左に曲がった。

道路の中央で二羽のカラスが、道を塞いで何かをツツイテいる。

どうせ、食いしん坊の腹ペコの兄と弟が、ケンカしながら  見つけた豆に食らいついてるんだろう。

そんな風にイメージしながら、時間をかけて  奴らへと近づいて行く。自動車の運転以外は、眼鏡を外しているので、その行為を認識するまでに、一度、空の景色を確認する為に首の角度を垂直にした。

再び、視線は二つの黒いヤツに向けて集中される。

ヤツら子猫を喰ってやがる。

もう一度  目を反らして天をあおいだ。


目の前で繰り広げられている  自然界の営みを凝視するほど、今の俺はタフではなくなっている。


先日、仕事中に知り合った上品そうな貴婦人たちの対話が、ボンクラ脳ミソで  流れ始めた。


「あの店(高級しゃぶしゃぶ焼き肉店)のしゃぶしゃぶの肉は薄いから、すき焼き用の肉に替えて貰って食べているのよ。」


もう一度来た道を引き返して、スーパーに向かった。


バナナをヒトフサと、うまかっちゃんを買って帰った。


そんなクダラナイ一時を回想しながら、いつもの自宅前の駐車場で月桂冠を呑みながら、(生命を維持するには、何を食べていくべきなのか?)瞑想していた。

ノーベル賞を受賞した博士に気付いた女房様が、体育祭の弁当造りの為に早起きしていて、家の窓を開けて、手を振っている。

(このタイミングで一服ショッポ決めたら旨かろう!)などと考えつつ先程決意した禁煙の代わりに空の胸のポケットに指をしのびこませた。

ラジオから

まいにち吹雪吹雪氷の世界…

だそうです。