年末に差し掛かり 交通量がとんでもないことになっている。ラジオのニュースは 産まれたばかりの子供を高層階から投げ落とした父親の事件を俺に伝えた。感情を殺したアナウンサーは多分 昼飯のことでも考えているのだろう…。今 この瞬間にも 自身の主張すら持てずにいる幼き子供たちが 世界に多数いるだろうという絶望的な憶測をしたら胸が張り裂けそうになった。
(闘え…)
全ての彼らに念じながら駐車違反している高級車を避けて目的地へとハンドルを切った。

(神様。俺はピストルがほしいんだ。それと もしよかったら 理不尽な法律の網を掻い潜る 権利もくれないかね。)

俺は妄想する。

高級車のタイヤにピストルで風穴を空けて その横でボンクラドライバーを待つ。自己主張にのみ全身全霊を使い生きているドライバーはその光景に唖然として すぐに怒り狂うだろう。俺はニヤニヤ笑ってそのそばに 突っ立っているのさ。

恐らく 奴は俺に食い付いて来るに違いない。

(ハンズ アップ…。冬は終わりだ。)

信号が青に変わり また シタリ顔で目的地へとアクセルを踏み込んだ。

ラジオから素敵なクリスマスソングが流れていた。