笑い声で家の中が満たされた。こんなに笑ったのは 本当に久しぶりだ。 中学1年生と小学1年生の最近凝ってる遊びは 肉体へのペインティングである。ピンク色のハ一トや得体の知れない花や名前などをお互いの肉体に描くという単純な遊びだ。ビールで少しばかりリラックスしてた俺は ここぞとばかり 小学1年の娘の肉体に刺青調の素敵なペイントを試みる事にした。絵を描くという行為は生活の一部だった時代も有った為 多少の自信はある。父ちゃんの存在をアピールする舞台としては充分である。肩に桜、背中に滝登りの鯉を精魂込めて写し出す。まるで全く別の生命を宿すが如く にわか彫り師は気張りに気張る…。小一時間を掛けて渾身の名作は誕生した。下絵や見本が無かったので 鯉の滝登りというよりも上向きの金目鯛みたいだがなかなかユーモラスでありオトボケ顔した娘とのバランスが絶妙である。達成感を感じながらもう一本のビールを開けて味わう。呑みながら、娘に今度はペイントしてもらう。30分程で力作が俺の背中に姿を現した。 家族4人と花2本と正体不明の女とウサギがいた。親子3人大爆笑!至福のひとときである……。嫁さんがパートから帰って来た。久しぶりに玄関から聞こえてくる笑い声に「どうしたの?」とこれまた久々に見る笑顔で部屋に入って来た。呆れて笑う嫁さんに「お前も脱げ!」と酔ったパワーはコントロール不能状態。しかし笑いのパワーはそれを上回る。どんなにくだらない事でもいいんだね。タイミングさえ合えば全ての出来事は幸福へとつながっていくのさ。