先ずはアジトとなるべき場所を捜す事からスタートしよう。テーマを絞って橋を渡った。帰り道の目処だけ 確保しながら ただ歩いた。上通りから下通りへ向かう途中長崎屋(現在のパルコ)を地下街から屋上まで徘徊して階上のゲームコーナーをチェックして下通りのアーケ一ドを北へと上る。そして当日最も印象に残ったポレ一ルに辿り着いた。幼少の頃に施設で眺めていた絵本の中のオモチャの国を見つけ出した。そんな第一印象だった。多分 5階建のビルだったと思う。その広い建物内に所狭しとオモチャが陳列されていた。天草のデパートほどの敷地面積がオモチャ箱なのである。驚きとも喜びともつかない感動が在った。 閉店間際だった。二階のテレビゲームの体験コーナーで彼と出会った。自身と似通った人物だと感じた。目が合った瞬間に仲間になった。少年の頃は そんな不思議な感覚が 何故だか、当然のように備わっていたような気がする。彼も同種の匂いを俺に感じたらしかった。その瞬間から今までの日常はリセットされ新生活が始まる事となった。店仕舞いする ポレ一ルに別れを告げて 二人して上通り方面へ歩き出す。初対面にしては エラくフレンドリーな自己紹介をしながら彼の住んでいる場所へ歩を進める。彼の姓は王。年齢は俺の2歳上の13歳。だが学年は同級生らしかった。色んな事情が有るのだろう。俺は 王君を同級生の仲間として付き合っていこうと決めた。ただそんな気がした。でも2年のギャップと生活習慣のギャップは確かに感じた。例えば ポケットから煙草を出して当たり前のように火をつける仕草。周囲の大人達の視線など お構い無しに ショッポの煙を上手そうに吸い込む。そして肩で風切ってアーケ一ドのど真ん中を ガッハッハと大声で笑いなから流れて行く。多分、その時の俺はオドオドしてたろう。王君の住んでいる場所は上通りのアーケ一ドを通り越してすぐのラーメン屋を左に曲がり数分歩いた雑居ビルの2階に在った。約2ヶ月間の家出生活が始まった。