俺の育った田舎街の一角にも眠らない街が在った。五才からホステスの母親と出勤して朝方までの時間を衣装室兼休憩室みたいな部屋で生活していた。夕食を母親と弟と3人で済ませると純白のドレスと金髪を武器に店内へと向かう母親の後ろ姿は消えていく。 その頃 通っていた幼稚園で外国人の女性の集団を街中で見掛けるという噂が流れていたが、実は俺の母親と連れのホステス三人衆だと 幼いながらに気付いていた。しかし外国人といっても後ろ姿だけ。今でこそ金髪は珍しくもないが当時は周囲の視線は心地悪かった。時代の先読みにしては余りにもバランスの悪い容姿であった。 朝から雨が降っていたらいつもの隠れ家は中止となる。キャバレ街のテナントの一つに少しタイミングの遅れたゲーム喫茶がオ一プンした。そこへ店主の息子と落ち合い向かうのである。合い鍵というアイテムを手に入れた二人は無敵である。誰にも目撃されずに店内に侵入すれば そこはハ一レム。しかし危機一髪のスリルと背中合わせ たまらない一時だった。生憎二週間ほどで相棒の親父の踏み込みで あえなく御用となりみっちり絞られた。でも俺にとって人生最初の快楽として脳裏に焼き付いている。しばらくして その店は無くなってしまい、相棒もこの街から姿を消した。その直後に、ある事情でバタバタと俺も家族と共に天草の街を後にした。