Masumi's eyes...
今でも時々思う・・・、これは夢なんじゃないかと。
自分に都合のいい夢を見ているだけなんじゃないかと。
朝目覚めたら、そこに君がいる・・・
抱きしめたら、抱きしめ返される・・・
誰にも見せないような笑顔で、君が俺だけに笑いかけてくれる・・・
誰よりも愛していると・・・泣いてくれる・・・
どんな君も、俺の大切なマヤ。
何ひとつなくしたくない、俺の宝物。
一度知ってしまったら、二度と知らなかった昔には戻れないから。
君に出逢って、ずっとずっと君だけを見てきた。
君を護ること・・・それが俺の生きる意味だった。
けれど・・・
何よりも君が大切だったのに、誰よりも傷つけた。
君を失う事への不安・・・
会えなくなる事?
話せなくなる事?
君との繋がりさえあれば、我慢できると勘違いしてた。
二人がどんな道を歩いたって、君は僕の特別な存在だから、君だってきっと・・・。
自分の馬鹿さ加減に反吐が出るよ。
自分は他人との婚姻に身を置こうとしながら、マヤにはそんな事は起きないって、都合のいい妄想を抱いてた。
君が誰かを好きになる・・・
そんな当たり前の可能性から、俺は目を背けていたんだ・・・
耐えられないと、知っていたから。
現実は容赦なく俺とマヤを引き離したね。
そして、何処までも臆病な俺は、君を諦めようとした。
けれど・・・
君を諦めた時から、俺の心が毎日少しずつ死んでゆくのを感じた。
何を食べても味はしないし、そもそも食欲すらない。
酒の力を借りなきゃ眠れない。
その眠りもマヤを失う夢に毎晩奪われた。
死んだほうが楽なのかもしれない・・・マヤがいなくては、俺は生きてさえいけないんだと気づいた。
だけど今更どうすればいいのか・・・
君を取り戻すには?
君の愛を乞うるには?
君に逢いたくて、君に抱きしめて欲しくて、夜も更けた土砂降りの雨の中、俺は君のマンションの前に立ち尽くしていた。
見つけて欲しい・・・俺は・・・ここにいる・・・。
ここにいるからマヤ・・・。
気がつけば、俺は君の胸の中にいた・・・
こんな弱い俺を君は愛してくれると言う。
ずっとそばにいてくれると言う。
涙が・・・止まらなかった。
これで・・・生きて・・いける・・・。
やっと君を手に入れた・・・そして、俺の棲む世界は姿を変えた・・・。
君を助手席に乗せてのドライブ・・・
ドリンクを取ってくれたり、ナビを操作してくれたり、何気ない事が嬉しい。
隣に君がいる・・・俺だけを見てる君がいる・・・。
今では、何処へ行っても君はみんなの注目を浴びる。
そんな君を我が物顔でエスコートするのが、楽しくって仕方ない。
飾らない君は、なんの衒いも躊躇いもなく、何時でも何処でも俺の恋人でいてくれるから。
夜会や晩餐で、男達の羨望の眼差しを背に受けて、君と踊るダンスは最高だ。
「マヤは誰にも渡さない・・・。」
きっと・・・俺の全身から独占欲が迸っているに違いない。
溺れているよ・・・俺は完全に君に溺れてる。
俺は君に愛されている・・・
それを実感したくて。
君は俺に愛されている・・・
それを実感させたくて。
どれだけ紫の薔薇を贈っても、どれだけのプレゼントを贈っても、この胸の想いは伝えきれないと思うから。
これから長い時間をかけて、君を愛していくよ。
〜Fin〜