突然来ちゃって
スミマセン・・・


かるいノリで
霊園の墓石販売所の
扉を開けると


バービー人形のような
女の子がいた。


金髪をしており
目の玉が
見えないくらいの
つけまつ毛を付け


物凄い小顔で
笑うとギャル曽根
みたいだった。


「まだ入ったばかりで・・今日から仕事することになった〇〇です。たくさん質問してあげてください」と所長から紹介された。


バービーの
初めての客が
わたしだった。


バービーに案内されて
墓石の見本を前に
説明を聞く。


(バービー)
一番右が
スタンダードな?
基本?なヤツで・・・
あとは、ポン・ポンって
値段が高くなります。

(ぴーこ)
ポンポンって高くなるの?

(バービー)
はい。ポンポンって・・・

(ぴーこ)
どれくらい高くなるの?

(バービー)
20万くらい??


結局バービーから
お墓を
買うことになった・・・


工事契約書の
取り交しを
おこなうため


共用スペースに
とおされた。


入社したてのバービーに
所長が小声で
指示を出すが、マル聞こえだ。



(所長)お茶入れて(小声)



(所長)ここに金額を書いて(小声)



工事契約書に
金額を書き始めるバービー。


ゼロを何個
書いていいのか迷って
ペンを止めてしまうバービー。


頭の中で
イチジュウヒャク・・と
繰り返している。


数えているのが
首の動きでわかる。


それでも


ゼロをいくつ
書いていいのか
わからないバービー 。


みんなで見守る・・・


バービーが
ゆっくりと
ゼロを書き始めると


所長が
ストップ!!という感じで
止めた。


危うく高額な墓石を
買う羽目に
なるところだった。


所長は言う
「わたしは30年ここで仕事をしていますが、はじめてのお客様は、いまでも覚えています」


はたしてバービーは


ワタシのことを
いつまで
覚えているのだろう・・・