男性4人のボーカルグループ「VOXRAY(ヴォクスレイ)」が、東日本大震災で被災した東北地方の児童養護施設で暮らす高校3年生にオーダーメードのスーツを贈ろうと募金活動をしている。メンバーの1人は施設出身で、「胸を張って社会に出ていけるよう後押ししたい」と思いついた。
中音を担当する渡井隆行さん(33)は母子家庭に育った。幼少期はコンビニエンスストアの弁当を盗んで飢えをしのいだという。小3の時に補導され、高校卒業まで養護施設で過ごした。「母親と一緒にいられず寂しかったが、温かいご飯と風呂があって幸せだった」
将来への不安や孤独におびえる日々を救ったのが音楽だった。高卒後はアルバイトに励み、03年にVOXRAYを結成。グループはプロ野球公式戦で国歌斉唱したり、ラジオ番組のパーソナリティーも務める。虐待された子供の支援にも力を入れ、児童福祉施設を訪れて歌っている。
贈り物をスーツにしたのは、自身の苦い経験からだ。成人式用に量販店で購入したが、友人たちは家族や親類からのお祝いで仕立てており、「惨めだった」。後輩に同じ思いはさせたくなかった。
スーツはスタイリストの桐原三恵子さんの協力で、国内メーカーがオーダーメードで製作する。「たいようのたね募金」と名づけ、チャリティーライブなどで70万円を集めた。渡井さんは「僕たちも多くの人の支えで活動している。『君は一人じゃない』というメッセージが伝われば」と話す。募金の情報はホームページ(http://soleil.voxray.net/)から。【鈴木敦子】
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