三十一文字〈雑詠-六首-〉寒朝の清んだ空気の襞の中春の気配が顔見せ始め各々に"なにか"を抱え流る人端で佇む吾 誰ぞ知るやわらかな甘さにふっと息を吐く缶コーヒーに時が留まる忘れじのカツ定の味夢に見る未だ夢の夢だから夢見る春なのに灰色景色立ち止まる寒の戻りの風に凍える演りたいな唄いたいなと募れども侭ならぬ身にため息ひとつ