2020年1月20日 鈴本演芸場正月初二ノ席夜の部(柳家喬太郎主任) | 寄席にっき

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ふとした事がきっかけで初めて行った新宿末廣亭、そこで初めて生の落語に触れたのが約半年前でした。今では暇を見つけては寄席通いです。
そこで半年目を記念して、鑑賞記録を兼ねたblogを始めてみます。

年始がバタバタ忙しくてなかなか落語に行かれませんでした。





◆橘家門朗【道灌】
◆柳家小平太【権助魚】

最初は男女の間柄の嫉妬は厄介、との事で高校生の時に、好きな人が誰かと話していると気になって仕方がなかったと告白、ヤキモチはほどほどが良い、と始まった「権助魚」、田舎ものを演じたら本当にリアルに感じる小平太師匠ですが、この日もたくさん笑えました。

◆春風亭正朝【替わり目】
世間ではとうに正月が終わっていても、寄席は20日までがお正月。最終日になると飾ってある鏡餅ももはや怪しいそうで(笑)
お酒は罪がないものだが過ぎると罪になり酒乱ほこまりもの、しかし世の常とは言うものの奥様方はなぜお酒をあんなに目の敵にするのか・・・と始まったのが「替わり目」
酔っぱらって夜遅くに帰宅した旦那様、出迎えた女房に様々な悪態をつくものの、旦那の酒のつまみを買いにおでんを買いに行く女房に、こっそり感謝してるのがばれる噺。
旦那は「女房は厳しく教育しなきゃ図に乗るから」と言いますが、いつの世も変わらないなあと思いました。

◆橘家文蔵【桃太郎】
落語には子供がよく出てくるが、親の言うことを素直に聴く子供が登場したのは昔のこと。今は、こまっしゃくれた子供が主流・・・と、お馴染み父親が子供を寝付かせようとおとぎ話を始めますが、それで子供が寝付くわけはなく、逆に「おとっつぁんは面白い話をするから寝ろと言うけど、逆に面白い噺は眠れなくなる」と、真理はついているけど、どこか可愛らしくない子供の台詞(笑)。
「面白い事を言われると普通はねむれなくなるもの」
「話すには聴く相手が必要」と言われて「話しましょう」という親に「承りましょう」と揉み手で応じる子供(笑)。「お前は商人か」とツッコミを入れる父親に対して昔話の「桃太郎」のうんちくをあれこれ語る息子。理路整然と語る息子に父親はどうやっても言い返せず、「血圧が上がりそう」。
対して息子は「枕元で大声で話して寝られない」「聞いたままを話すなんて、二つ目じゃあるまいし」等のキツイ発言(笑)。サゲは普通で終わりました。

◆ロケット団【漫談】
◆三遊亭天どん【初天神】

生まれたての子供は白い糸の如しと言いますが、今日は小学校のランドセル姿は想像できない人もいる(笑)。また、最近は親も優しくなったようで、友達のような両親が好かれるが、親みたいな友達がいない以上どうかと思うそう。
そんな話の後は「初天神」。お馴染み、金坊が父親に初天神に連れて行って貰う噺ですが、普通の落語ではないのが天どん師匠(笑)
家を出るときに母親が厄除けの火打ち石を打つのを後ろに聞きながら、金坊さんは「何か買って!」とねだります。父親は「まだ長屋、店があったらな」と言いますが、何故か長屋に飴屋が出現(笑)
父親が「子供は大腸菌だから」と、飴をいじくり回して飴屋さんのクレームに。
飴屋を出るとすぐ水溜まりがあり、頭をはたかれた金坊が「飴を落とした」と泣いていたら、今度は隣にカラーひよこのお店が出現。
まだ長屋を出ずに、母親が火打ち石を打ち続ける中、更に凧のお店も出現。最後は「今日は初天神は止めた」と言う父親でしたが、「そもそもこの落語の題目は?」とツッコミを入れたくなりました。

◆古今亭菊之丞【片棒】
最近、有名私立大の付属校に落語に行く機会があったのですが、最近の前座さんの多くは大卒。芸術協会会長の昇太師匠のお弟子さんには東大卒もいるとか。東大卒の落語家は菊之丞師匠の同期にもいましたが、一週間で辞めたとか。
俗に、ケチな人を赤螺のような人と言いますが、これは赤螺と言う貝が握りこぶしのようにつかんだものを放さないように見える事から来ている・・・と、赤螺屋ケチ兵衛さんが出てくる噺、「片棒」が始まりました。
最初は普通に番頭さんと主人の会話で、「一人息子が跡取りにふさわしいか試したい」と、「大旦那様の弔いをどうするか 」と、案を出させることに。

今回は、息子三人のバージョンでは二番目の息子の案、「破天荒でお弔いの歴史に残る、色っぽい弔いを」となる。
町内に紅白の幕を張り、先導は頭連中による木遣り歌、芸者を集めて揃いの金棒に提灯を持たせて手古舞の練り歩き、算盤を持たせた因業な顔立ちをした人形の山車に花火・・・息子は一人だけなので、サゲは普通とは少し違ってました。

◆江戸家小八【動物の鳴き真似】
お馴染み動物の鳴き声の真似ですが、「今日は千秋楽だから」と、会場で手長猿の鳴き真似の練習(笑)
隣の人を見ないようにとの注意がありましたが、つい見てしまいました。

◆柳亭こみち【たけのこ】【芸者さんの一日】
今日は千秋楽、客席の皆さんは喬太郎師匠を目当てに来て幸せでしょうが、楽屋で出会えたほうも幸せだった
そう。
落語は「たけのこ」、女性バージョンです。
武家の奥様に隣の家は90過ぎのお婆さん。二人のたけのこを巡ってのやり取りには、女性らしいリアルさがありました。
「芸者さんの一日」は、「かっぽれ」と客席の拍手の数で決まりました。
芸者さんの一日の様子を当て振りで表現した芝居、想像しながら楽しめました。

◆林家楽一【紙切り】
リクエストの中に「初天神、天どんバージョンで」と言われ、「自分でやってみて」となりながら、カラーひよこを選ぶシーンを切り上げていました。

◆柳家喬太郎【夢の酒】
いよいよトリ。
マクラは、最近湘南新宿ラインと直結した相鉄線、師匠が乗った時に見かけた酔っぱらいの様子が面白く笑っていたら「持ち時間の2/3使ってしまった」と、始まったのは「夢の酒」
いつも聴く噺ですが、飽きないのが不思議です。
ある日のうたた寝でみた美しい女性との出来事を楽しそうに語る旦那さんに、夢の中の旦那の行動に怒って泣きわめくお花、やはりどこか可愛らしく感じます。





世間では正月が終わってますが、寄席は20日までがお正月、初席にようやく間に合いました。