2022年、イスラエル・ポーランドのコメディドラマ映画。
レオン・プルドフスキー監督作品。
出演は、デヴィッド・ヘイマン、ウド・キアなど。
1960年代のコロンビアを舞台とし、ホロコーストを生き延びたユダヤ人と、隣人をアドルフ・ヒトラーだと疑うドイツ人との交流を描いている。
1960年5月。ホロコーストを生き延びたポーランド系ユダヤ人ポルスキー(デヴィッド・ヘイマン)はコロンビアの片田舎に移り住み、ガーデニングとチェスを趣味にしながら一人で暮らしていた。
世間でアドルフ・アイヒマンがモサドに拘束された事件が話題となっていたころ、ポルスキー宅の隣にドイツ人ハルツォーグ(ウド・キア)が引っ越してくる。ポルスキーはハルツォーグが死んだはずのアドルフ・ヒトラーだと疑い通報するが相手にされず、証拠をつかむためにハルツォーグとの接触を試みる…
冒頭の、ユダヤ人一家の幸せそうなシーンから、突如としてヒトラーそっくりの隣人が来たことにより、その幸せがガタガタと音を立てて崩れていく。
ユダヤ人にとってヒトラーは、憎むべき存在どころか、このようにコメディ映画を撮るような「あんの野郎!」なのだ。
特にお互いチェス好きで、真剣に勝負していくところがなんとも言えない。
お互いに少しずつ信頼関係が出来そうな、しかしヒトラーそっくりの彼の家にこっそり忍びこむドキドキハラハラ感もあったり、とにかく「あんの野郎!」なのだ。
ホロコーストを生き延びた主人公ポルスキーにとっては、苦しく切ない過去なのだ。
手首の刺青番号を見るだけでも胸が痛く、やっぱりヒトラー関連の映画はコミカルさがあっても残虐さが蘇ってしまい…切ない思いに包まれる。
こんな日本人のボクがこの映画を語るのもどうかと思うが、とにかく面白かった。
いろんな意味で、面白かった。
星5つ満点で星3.5でした。