2000年、リドリー・スコット監督の壮大な歴史映画。

この映画でリドリー・スコット監督は「巨匠」と呼ばれるようになり、主演のラッセル・クロウはスターの仲間入りを果たした。

 

第73回アカデミー賞では、作品賞、主演男優賞、衣装デザイン賞、録音賞を受賞。その他の賞を合わせると、なんと36個の賞を受賞する大成功を収めているのだ。

 

グラディエーターの大ヒットは、特に合衆国内で「ローマ・ブーム」とも言うべき古代ローマ時代への関心増加を引き起こし、この現象は「グラディエーター効果」と評された。

 

また、ローマ時代の政治家キケロの専門的な考察書「キケロ―あるローマの偉大な政治家、その生涯と生きた時代」が飛ぶように売れ、同じくたまたま新たに新訳が行われたアウレリウス帝の著書「自省録」が思索書としては異例の売り上げを記録した。

 

ローマ時代のみならず歴史映画自体もブームとなり「トロイ」「アレキサンダー」「キングアーサー」と立て続けに歴史大作が送り出され、リドリー・スコット自身も十字軍をテーマにした「キングダム・オブ・ヘブン」の監督を請け負っている。

 

この流れは現在まで温存されており、スパルタ時代をテーマにした「300(スリーハンドレッド)」が製作されててもいる。

 

また、ラッセル・クロウの母国オーストラリアでは、マキシマスの記念切手まで発売され、ラッセル本人が豪州政府の招致で記念式典でスピーチを行っているというから、当時のフィーバーぶりも分かってもらえると思う。

 

作品自体は文句の付けようがないほど、完成度は高い。

 

映画レビューサイト「Rotten Tomatoes」では78%(207名中161名)の批評家が本作に肯定的な評価を下している。

 

また平均点は10点満点で7.3点、批評家の一致した見解は「リドリー・スコット監督と豪華キャストが、ローマ帝国の剣闘士の闘いの迫力と、その裏で起きようとしている政治的陰謀を見事に表現している」となったのだ。

 

最初のアイディアは製作を務めたデヴィッド・フランゾーニが提案したものであった。フランゾーニは以前に製作・脚本として関わったスティーヴン・スピルバーグ監督による「アミスタッド」の成功で、ドリームワークスから新たな映画の製作と立案を依頼されていた。

 

フランゾーニは古代史に関する特別な興味を当初持たなかったが、小説「Those About to Die」に影響を受け、更に「ローマ皇帝群像」を読んだ経験からコモドゥス帝に関する映画製作を思い立った。

 

監督については、リドリー・スコットにオファーが出され。スコットは古代ローマ時代の映像化に強い興味を示したものの、脚本や草案については全面的に書き直すべきだと批判し、実際に大幅に変更させた。

 
製作の直前まで脚本についての議論は続けられていた。その中でヌミディア人の奴隷ジュバが重要な役割を演じるよう、人物関係が調整された。
 

さらに、脚本は主演を務めたラッセル・クロウからの提案による修正も行われた。彼は常に脚本の内容について意見を提示し、納得する回答が製作陣から得られないと不満げにセットを練り歩いたのだ。

 

ドリームワークスの製作陣は口を揃えて「(ラッセルは)全ての脚本を書き直させようとした。特にトレーラーでも使用された『今生か、さもなくば来世で復讐を果たす』という台詞を断固として受け入れなかった」と証言している。

 

ラッセルは追加された死生観についてのテーマを嫌っており、「この脚本はゴミだ。だが私は世界一の俳優だからどんなゴミみたいな台詞でも良く演じてみせる」とまで罵倒したという。

 

しかし、この映画。

これほどまでに入れ込ませる「何か」がある。

 

それは、保身のためではなく、自身の栄光のために必要なもののためプライドを賭けるといった生半可ではない男の生き様みたいなものだと考える。

 

全員が一致した方向を向き、成功した映画。

潰れかかっている企業は、是非とも見習ってほしいものである。